PMPの合格率はなぜ分からない?
結論から言うと、PMPの合格率は公式には分かりません。PMIは合格率を発表しておらず、資格ハンドブックやECO(出題範囲の文書)にも記載がないためです。合格点(何問正解すれば合格か)も公表されていません。
PMIは、試験の結果を本人の同意なしに第三者へ伝えないとしています。合否は個人ごとに扱われ、全体の統計として出されていないのが現状です。
そのため、「PMPの合格率は◯%」という情報は、すべて公式でない推定と考えてください。当サイトでは、根拠を確かめられない合格率の数字は書きません。
日本の国家試験の多くは、受験者数と合格者数を毎回公表しています。その感覚で探すと、見つからずに戸惑うかもしれません。PMPは民間の団体が世界中で行う資格試験で、統計の扱い方が違います。
合格率が分からなくても、受験者が不利になることはありません。後で説明するとおり、PMPの合否は他の受験者との比較ではなく、基準に達したかどうかで決まるからです。
よく見る「合格率60%前後」はどこから来た?
日本語の記事では「60%前後」「50〜60%」「60〜70%」といった数字がよく引用されています。しかし、これらの記事をたどっても、PMIの公式な発表には行き着きません。
考えられる出どころは3つです。研修会社が自社の受講者から出した合格実績、受験者の体験談やアンケートからの推定、昔の非公式な情報の引用です。どれも、受験者全体の合格率を示すものではありません。
情報の種類ごとに、信頼できる度合いを整理すると次のとおりです。
- PMIの公式発表:あれば最も信頼できる。ただし2026年10月時点で公表されていない
- 研修会社の合格実績:その会社の受講者だけの数字。最後まで受講した人や、合格を報告した人だけを数えている場合もあり、高く出やすい
- ブログやSNSの「合格率◯%」:出典が書かれていないか、他の記事の引用になっていることが多い
- 受験者のアンケート:傾向の参考程度。合格した人ほど回答しやすく、偏りがある
もう一つの注意点は、時期です。PMP試験は2021年と2026年に大きく変わりました。古い時期の推定を今の試験に当てはめても、意味はほとんどありません。
ネットでよく見る数字は、今の試験に当てはまる?
当サイトで「PMP 合格率」「PMP 難易度」の検索上位の記事を調べました。合格率と一緒に、次のような数字がよく書かれています。PMIの資料と照らし合わせた結果をまとめます。
| よく見る記述 | 公式の裏づけ | 今の試験との関係 |
|---|---|---|
| 合格率は60%前後(50〜70%など幅がある) | なし。PMIは合格率を公表していない | 推定のもとが示されていないことが多い |
| 合格ラインは61%前後(105〜110問ほど) | なし。PMIは合格点を公表していない | 旧試験の採点175問を前提にした計算が多い。今の試験の採点対象は170問 |
| 試験は230分・180問(うち採点175問) | 旧版(2021年1月版)のECOの数字 | 2026年7月9日からは240分・180問(採点170問+事前テスト10問) |
| 休憩は60問ごと | 旧試験の決まり | 今の休憩は、ケーススタディの区画の後と、残りの問題のほぼ半ば |
| 新試験で難しくなった | PMIは「難しくしたのではなく、実務に合わせた」と説明 | 比率と形式が変わり、旧試験の教材だけでは練習が足りない部分がある |
記事の更新日が新しくても、中身が旧試験のままのことがあります。数字を見たら、240分・採点170問という今の試験の前提で書かれているかを確かめてください。
合格率より大事な「合否の決まり方」とは?
合格率を知りたい理由の多くは、「自分は受かるのか」を知りたいからだと思います。それなら、合格率よりも合否の決まり方を知る方が役に立ちます。
PMIのハンドブックによると、PMIの試験は「基準にもとづく試験(criteria-based)」です。経験のあるプロジェクト・マネジャーに求められる水準に達したかどうかで、合否が決まります。合格点は、心理測定の専門的な分析(psychometric analysis)によって決められます。
つまり、上位◯%だけが受かる仕組みではありません。周りの受験者の出来が良くても悪くても、自分が基準に達していれば合格します。合格率の高い低いは、自分の合否に関係しないということです。
PMIが公開しているスコアレポートの見本(旧試験のもの)によると、採点される問題は1問1点です。正解した数で評価が決まります。180問のうち10問は採点されない事前テスト問題なので、採点されるのは170問です。PMIは、新試験でも採点の方法は変わっていないとしています。
よくある誤解
- 合否の基準上位の一定割合だけが受かる
- 難しさ合格率が低い年は難しい
- 比べる相手周りより点が高ければ受かる
実際の仕組み
- 合否の基準基準に達した人は全員受かる
- 難しさ合格の水準は専門家の分析で決まる
- 比べる相手自分が基準に達したかだけで決まる
見るべきは合格率ではなく、自分が基準に届いているかどうか。
合格の目安となる正答率や、結果の4段階評価についてはPMPの合格ラインは何%?で詳しく解説しています。
合格率の代わりに、何を目安にすればいい?
合格率が分からない以上、目安にできるのは自分の模試の成績です。ただし、模試の点数も見方を間違えると判断を誤ります。次の3つを組み合わせて見てください。
| 目安 | 見るところ | 注意点 |
|---|---|---|
| 全体の正答率 | 初見の模試で7割前後に届いているか | 同じ問題を解き直した点数は高く出る。初めて解いた回で判断する |
| 領域ごとの評価 | 3領域すべてで大きく崩れていないか | 全体が良くても、1領域だけ低いと本番で不安が残る |
| 時間の余裕 | 時間内に全問を解き、見直しの時間が残るか | 時間切れの空欄は確実に失点になる |
当サイトでは、模試で70%を合格の目安にしています。これはPMIの公表値ではなく、当サイトの推定です。PMIは合格点を公表していないので、どの模試の「合格ライン」も作り手の推定だと考えてください。
大切なのは、目安に届いたかどうかより、目安との差がどこから来ているかです。領域やタスクで弱点を特定し、その部分の問題を重点的に解き直すと、点数は安定して上がります。
受験の決まりも安心材料です。申請が承認されてから1年の間に、3回まで受験できます。1回目で届かなくても、結果のレポートで弱点を確かめて立て直せます。最初から再受験を前提にする必要はありませんが、1回で決めなければという焦りは手放してかまいません。
新試験(2026年版)で合格しにくくなった?
合格率が公表されていないので、数字では分かりません。PMIは新試験の案内で、難しくしたのではなく、今の実務に合う内容にしたと説明しています。
それでも、旧試験の情報や体験談だけで準備した人がつまずきやすい点はあります。ECOから読み取れるのは次の4つです。
- ビジネス環境の比重が増えた:8%から26%へ。ガバナンス、コンプライアンス、外部環境の変化など、旧試験ではあまり出なかったテーマの問題が増えた。
- ケーススタディが加わった:長い状況文を読み、一連の問いに答える。最初の読み違いが、複数の問いの失点につながる。
- 図表問題が加わった:グラフや図を読み取る力が要る。文章だけの問題集では練習しにくい。
- アジャイルとハイブリッドが約60%に:予測型だけの経験では判断がぶれやすい。
一方で、変わらない部分もあります。チームを支えるリーダーシップ、ステークホルダーとの関わり方、決められた手順での変更の扱いなど、考え方の土台は同じです。旧試験の教材で学んだことは無駄になりません。足りない部分を足すことが大切です。
新試験の問題の形式はPMP試験の出題形式8種類で、他の資格と比べた難しさはPMPの難易度で扱っています。
一度で合格する人の勉強に共通することは?
合格率に頼らず合格に近づくには、次のような勉強の進め方が役に立ちます。これは当サイトが問題を作る中で、PMPの問題の性質から考えた進め方です。
- 本番と同じ形式で、時間を計って解いている:180問・240分の通し練習を少なくとも1回はしている。
- 間違えた理由を言葉にしている:「なぜその選択肢が最も適切か」を一文で説明できるまで解説を読む。
- 領域ごと、タスクごとに弱点を見ている:合計の点数だけでなく、どの領域が弱いかを確かめている。
- 職場の慣習ではなく、PMIの考え方で答えている:「自分の会社ならこうする」ではなく、問題の状況で最も適切な行動を選ぶ。
- 新形式の練習をしている:ケーススタディと図表問題を、本番前に解いたことがある。
特に大事なのは、領域ごとのバランスです。本番の結果は領域ごとにも評価されます。苦手な領域の比率が大きいと、得意な領域で稼いで補う作戦は通用しにくくなります。
今の自分がどこまで届いているかは、問題を解いてみるのが一番の近道です。当サイトの無料模試30問では、新ECOの比率どおりの問題で、領域ごとの評価を4段階で確認できます。