PMPの受験資格は何で決まる?
PMPの受験資格は、次の2つを両方満たすことです。
- 学歴に応じた実務経験:プロジェクトを率いた経験が、申請日から過去10年以内に一定の月数あること
- 35時間の研修:PMPの出題範囲に沿ったプロジェクトマネジメントの研修を、35時間以上受けていること
年齢、職種、業界の条件はありません。IT以外の建設・製造・医療・イベントなどの経験も数えられます。肩書きが「プロジェクト・マネジャー」である必要もありません。問われるのは、プロジェクトを率いて方向づけた(leading and directing)経験かどうかです。
条件は、PMIの出題範囲の文書(ECO 2026年版)とPMIのPMPページに書かれています。以下は、その内容を日本の学歴に当てはめた当サイトの整理です。最終的な判断はPMIが行います。PMPという資格の全体像はPMP資格とはで説明しています。
学歴別に必要な経験は何か月?
2026年版では、学歴の区分が欧州資格枠組み(EQF)と国際標準教育分類(ISCED)の水準で書かれています。日本の学歴に当てはめると、おおむね次のとおりです。
| 区分(ECOの水準) | 日本の学歴の例 | 2026年版 | 旧条件(〜2026年7月) |
|---|---|---|---|
| 後期中等教育の修了(EQF 4/ISCED 3〜4) | 高校卒業、高卒認定など | 60か月(5年) | 60か月 |
| 短期高等教育(EQF 5/ISCED 5) | 短大・高専の卒業、専門学校の専門課程の修了など | 48か月(4年) | 60か月(区分なし) |
| 学士以上(EQF 6/ISCED 6) | 4年制大学の卒業、大学院の修了 | 36か月(3年) | 36か月 |
| PMIのGAC認定課程の学位 | GACの認定を受けた学士・修士課程の修了 | 24か月(2年) | 24か月 |
| 経験を数える期間 | ― | 申請日から過去10年 | 過去8年 |
2026年版で大きく変わった点は2つです。1つめは、経験を数える期間が過去8年から過去10年に広がったことです。2つめは、短大・高専・専門課程などに48か月の区分ができたことです。旧条件では、学士でない人は一律60か月でした。
検索で見つかる記事には、今も「8年以内」「大卒36か月・それ以外60か月」と書かれたものがあります。どちらも2026年7月より前の条件なので注意してください。
学位でない資格を学士相当(36か月)として扱えるのは、公的な機関がEQF 6相当と明示している場合だけです。名前に「上級」「専門職」と付くだけでは足りません。証明書に水準が書かれていない場合、監査で国の資格登録の記載や発行機関の証明などを出します。
GACは、PMIがプロジェクトマネジメント教育の課程を認定する仕組みです。GACの認定は課程の質を示すもので、それだけで学位の水準が変わるわけではありません。
「重複しない月数」はどう数える?
経験は、プロジェクトの数ではなく月数で数えます。同じ期間に複数のプロジェクトを並行して率いていても、その期間は1回しか数えません。
例で確かめます。プロジェクトAを4月〜7月、プロジェクトBを6月〜10月に率いたとします。Aだけなら4か月、Bだけなら5か月です。6月と7月が重なっているので、合計は9か月ではなく、4月〜10月の7か月です。
数える月数 = どれかのプロジェクトを率いていた月の数(重なる月は1回)
- 1プロジェクトA:4月〜7月(4か月)
- 2プロジェクトB:6月〜10月(5か月)
- 3単純に足すと 4+5=9か月(誤り)
- 4重なる6月・7月を1回だけ数える:9−2=7か月
- 54月〜10月の7か月が経験として数えられる
並行していたプロジェクトは足し算しない。カレンダーで塗った月を数える。
数える範囲は、申請日から過去10年です。10年より前の経験は、どれだけ長くても数えられません。申請を先に延ばすと、古い経験が範囲から外れることがあります。
申請書では、プロジェクトごとに開始と終了の年月を書きます。PMIも、申請の前にプロジェクトの一覧を作り、重なる期間を確かめるよう勧めています。期間は実態どおりに書いてください。
経験に数えられる仕事・数えられない仕事は?
PMIはプロジェクトを「独自の状況で価値を生み出すために行う、期限のある取り組み」と説明しています。始まりと終わりがあり、毎回内容が違う仕事です。そのうえで、プロジェクトを率いた経験であることが求められます。
| 数えやすい | 数えられない |
|---|---|
| システム導入、新製品の開発、工場の設備更新など、期限のある取り組みを率いた経験 | 毎月の締め処理、定型の保守運用など、繰り返しの業務 |
| 社内の制度改定や移転などの社内プロジェクトのリーダー | 学校の課題や、学位のための研究 |
| 無給でも、職業上の場(NPOの運営など)でプロジェクトを率いた経験 | 個人のイベントの企画、自宅の改修などの私的な取り組み |
| 大きなプログラムの中の一部分(工程・チーム)を率いた経験 | 担当者として作業だけをした経験、事務的な補助 |
PMIが見るのは、肩書きより中身です。「コーディネーター」「チームリーダー」などの肩書きでも、プロジェクトを率いた実態があれば数えられます。反対に、「プロジェクト・マネジャー」の肩書きでも、定型の運用だけをしていた期間は数えられません。
迷いやすいのは、チームの一員として、ある部分の計画や調整を任されていた場合です。その部分を率いていたのなら、経験として書ける可能性があります。書き方のコツはPMP申請の経験の書き方で扱っています。
35時間の研修とCAPMによる免除は?
経験に加えて、プロジェクトマネジメントの研修を35時間以上受ける必要があります。研修の内容はPMPの出題範囲(ECO)に沿っていることが条件です。本を読んだだけ、模擬試験を解いただけでは数えられません。
研修を受けた時期の制限はなく、昔の研修も記録できます。ただし2026年12月1日から、講師が教えるライブ講座はATP(PMIの認定研修パートナー)などの提供分に限られます。オンデマンドの講座は提供元を問いません。12月1日より前に修了した研修は、今のルールのまま使えます。
有効なCAPM資格を持つ人は、35時間の記録が要りません。CAPMが35時間分とみなされます。詳しくはPMP受験に必要な35時間研修を見てください。
自分が受験できるかを5分で確かめるには?
次の順に確かめると、申請の前に受験資格の見通しが立ちます。紙かスプレッドシートに書き出しながら進めてください。
- 最終学歴を確認し、上の表で必要な経験月数(60・48・36・24か月)を決める。
- 申請予定日から10年前の年月を書く。それより前の経験は外す。
- 10年以内に率いたプロジェクトを、開始年月と終了年月つきで並べる。
- 各プロジェクトの期間をカレンダーに塗り、塗られた月を数える(重なりは1回)。
- 定型業務や作業だけの期間が混ざっていないか見直す。
- 35時間の研修の修了記録があるか、CAPMを持っているかを確かめる。
月数がぎりぎりの場合は、数か月待って余裕を持たせるのも一つの方法です。監査で確認者の署名が取れない期間があると、その分が数えられず不足するおそれがあるためです。
条件を満たさないときはどうする?
経験の月数が足りない場合、選択肢は3つあります。
- 経験がたまるのを待つ:今の仕事でプロジェクトを率いる機会を増やし、必要な月数に達してから申請する。待つ間に勉強を進めておける。
- CAPMを先に取る:PMIの入門向け資格。プロジェクトを率いた経験がなくても受験でき、取得後はPMPの35時間研修が免除される。
- 経験の棚卸しをやり直す:数えていなかった社内プロジェクトや、一部分を率いた期間がないか確かめる。ただし、実態のない経験を書いてはいけない。
申請は、勉強がある程度進んでから出すのが無難です。承認から1年が受験期限で、過ぎると申請からやり直しになります。手続きの流れはPMPの申請方法で説明しています。
受験資格がそろうまでの間も、問題に慣れておくことはできます。新試験の形式で判断の練習をしたい人は、無料模試30問から始めてみてください。
POINT
受験資格の条件は改定されることがあります。この記事は2026年10月時点のECO(2026年版)とPMIのPMPページにもとづきます。申請の前にPMIの公式ページで最新の条件を確認してください。