PMIの給与調査では、PMP保有者の年収はどれくらい高い?
PMIは、プロジェクトの仕事をする人の給与を調べた給与調査(Salary Survey)を出しています。2025年11月に公表された第14版は、21か国の14,628人の回答(2025年3〜4月に回収)をまとめたものです。
- PMP保有者13万5,000ドル
- PMP非保有者10万9,157ドル
米国では、PMP保有者の中央値が非保有者より約24%高い
出典:PMI「Salary Survey」第14版の公表資料(2025年11月)。米国の回答者の中央値。
- PMP保有者の給与の中央値は、保有しない人より17%高い(調査した21か国全体)
- 米国では、PMP保有者の中央値が13万5,000ドルで、非保有者より約24%高い
- 米国で、PMPを持って10年を超える人の中央値は17万3,000ドル、5年未満の人は12万3,000ドル
- PMP保有者の約3分の2が直近1年で報酬が増えたと答え、そのうち4分の3は上がり幅が10%以内だった
中央値は、金額の順に並べたときに真ん中に来る値です。一部の高い年収に引っ張られにくいので、給与の比較によく使われます。
保有期間による差には、経験の長さの差も含まれます。PMPを持った年数だけで給与が決まるわけではありません。
国別・役割別の詳しいデータ(21か国)は、PMI会員向けの給与調査ツールで見られます。日本の数字は会員でないと確かめられないため、当サイトでは書きません。会員の特典はPMIとは?で整理しています。
ネットの「平均年収◯◯万円」はどう読む?
ネットでは「PMP保有者の平均年収は900万円台」「1,000万円超」といった数字を見かけます。出どころは、PMIの給与調査の過去の版の日本の回答や、転職サービスの独自集計などさまざまです。数字を比べる前に、次の点を確かめてください。
| 確かめる点 | なぜ大事か |
|---|---|
| どの調査の、何年の数字か | 調査の版が違えば、回答者も経済の状況も違う |
| 平均か、中央値か | 平均は一部の高い年収に引っ張られる。PMIの公表は中央値 |
| 円にしたときのレート | ドル建ての数字は為替で大きく動く |
| 誰が答えたか | PMIの調査は、プロジェクトの仕事をする人の自己申告。全労働者の平均ではない |
| 賞与や手当を含むか | 基本給だけか、報酬の総額かで変わる |
為替の影響は大きく、たとえば7万ドルは、1ドル110円なら770万円、150円なら1,050万円です。同じ調査でも、換算のしかたで280万円の差が出ます。転職サービスの集計も、そのサービスに登録した人の数字である点に注意が必要です。
もう一つ大事なのは、因果ではなく相関だという点です。PMPの受験には、プロジェクトを率いた経験(大卒で36か月など)が必要です。PMPを持つ人は、もともと経験が長く、責任の大きい役割にいることが多いと考えられます。差のすべてが資格の効果とは言えません。
日本でのプロジェクト・マネジャーの年収の目安は?
日本の公的な統計で、PMP保有者だけの年収を集計したものはありません。そこで、職業としてのプロジェクト・マネジャーの年収を見ます。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、プロジェクトマネージャ(IT)について次の数字を示しています(2026年10月時点)。表のITSS(ITスキル標準)は、ITの仕事の力をレベルで示す、経済産業省が定めた指標です。
| 項目 | 数字 | 出典の注記 |
|---|---|---|
| 賃金(年収) | 889万円(全国) | 令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工 |
| 年齢 | 38.3歳(全国) | 同上 |
| ITSSレベル3の年収 | 600万〜925万円 | 2023年度の委託調査。第1〜第3四分位の範囲 |
| ITSSレベル4の年収 | 675万〜950万円 | 同上 |
| ITSSレベル5以上の年収 | 700万〜1,100万円 | 同上 |
| ハローワークの求人賃金(月額) | 40.4万円(全国) | 令和7年度 |
| 有効求人倍率 | 1.6(全国) | 令和7年度 |
job tag は、この仕事に就くのに特に資格は必要とされないとしています。そのうえで、能力を示すものとして、IPAのプロジェクトマネージャ試験とPMPを挙げています。つまり、年収を決めるのは役割と経験で、資格はそれを示す材料の一つです。
スキルのレベルが上がるほど、年収の範囲も上にずれています。需要も続く見込みで、PMIは2035年までに最大3,000万人のプロジェクト人材が新たに必要になると見ています。
年収が上がる人・上がらない人の違いは?
PMPを取った後の変化は、人によって大きく違います。違いを生むのは、資格を何に結びつけたかです。
上がりやすい人
- 取得を機に、より大きな案件や役割を任された
- PMPを条件にする求人に応募した
- 社内の昇格の要件や資格手当の対象になっていた
- 学んだ型を実務で使い、成果を示した
上がりにくい人
- 役割が変わらず、同じ仕事を続けている
- 資格手当や評価の制度に、PMPが入っていない
- 取ったことを社内外に伝えていない
- 経験が浅く、任される規模がまだ小さい
当サイトの整理。統計ではなく、給与が決まる仕組みからの考察です。
日本の会社では、給与は役職や等級で決まることが多く、資格を取っただけで給与表は変わりにくいものです。年収を上げるには、役割を広げるか、職場を変えるかに結びつける必要があります。
役割を広げるとは、学んだ計画・リスク・ステークホルダーの扱い方を使って、より大きな案件を任されることです。等級が上がれば、給与表そのものが変わります。
職場を変えるとは、PMPを経験の裏づけとして評価する会社へ移ることです。同じ経験でも、評価のしかたが違えば提示される年収も変わります。
転職・昇格で年収につなげるには?
転職では、PMPは「プロジェクトを率いた経験がある」ことを短く伝える材料になります。経験の要件を満たさないと受験できないからです。外資系企業や海外との案件がある会社では、PMPが求人の歓迎条件に入っていることがあります。詳しくはPMPは転職に有利?で解説しています。
昇格は会社の制度しだいです。資格を昇格の要件にしている会社も、まったく関係しない会社もあります。取得を年収につなげる手順は次のとおりです。
- 自社の資格手当・昇格の要件・評価の項目に、PMPが入っているか確かめる
- 率いた案件を、期間・予算・人数・成果の数字で書き出す(PMPの申請で書いた経験の記述が使える)
- 合格したら、社内の届け出と、職務経歴書・プロフィールに載せる(PMIのデジタルバッジも使える)
- PMPを条件や歓迎条件にする求人で、自分の市場での位置を確かめる
- 次の案件で、規模や責任を広げる相談をする
年収以外も含めたPMPの効き方は、PMP資格のメリットにまとめています。
取得費用は回収できる?考え方を式で示す
費用の回収は、次の式で考えられます。数字は人によって違うので、ここでは架空の数字で計算の仕方だけを示します。
回収期間(年)= 取得にかかった費用 ÷ 1年あたりの年収の増加額
- 1取得にかかった費用:受験料・研修・教材の合計。架空の例では30万円
- 21年あたりの年収の増加額:月1万円増えたとすると、1万円×12か月=12万円
- 330万円 ÷ 12万円 = 2.5年
架空の例では2.5年で回収できる計算
架空の数字です。年収が増えない場合、回収期間は計算できません。
条件を変えると、回収期間は大きく動きます。資格手当が月5,000円なら、30万円÷6万円=5年です。会社が受験料や研修費を補助してくれる場合は、分子が小さくなるので回収は早まります。
大事なのは、分母の「年収の増加額」が0なら、どれだけ費用を抑えても回収できないことです。取る前に、取った後に何を変えるか(役割、応募先、社内の申請)を決めておくと、費用が投資になります。
費用を抑える一番の方法は、1回で合格することです。勉強の進め方はPMPの勉強法で、本番の形式は無料模試30問で確かめられます。