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プロジェクトとサステナビリティ|PMP新ECOで加わった論点を解説

プロジェクトのサステナビリティを、PMP 2026年版ECOで加わった4か所(計画・品質・順守・リスク)から解説。計画で洗い出す観点、品質コストとの関係、リスクの例、予測型とアジャイルでの扱いと確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • サステナビリティは、2026年版ECOで新しく例示された論点です。旧版(2021年版)のECOには、この語は出てきません。
  • 出てくるのは4か所です。計画で必要な情報(Process1)、品質コスト(Process7)、順守の要件(Business2)、リスクの対応(Business5)。
  • PMP では「環境にやさしいことをする」より、「サステナビリティを要件・品質・リスクとして計画に組み込み、管理する」ことが問われます。
  • スコープや費用を勝手に足すのではなく、要件として確かめ、関係者と合意し、変更管理を通すのが基本です。

新ECOでサステナビリティはどこに入った?

2026年版のECOは冒頭で、AI やサステナビリティといった新しい流れの影響を調べたうえで内容を見直した、と説明しています。その結果、サステナビリティは次の4つのタスクのイネーブラーに、例として入りました(当サイトの訳・要約)。

ECO 2026 をもとに当サイトが整理
タスクイネーブラー(要約)読み取れること
Process1:統合計画を作る重要な情報の要件を決める(例:サステナビリティ)計画の段階で、何を測り報告するかに含める
Process7:品質を計画し最適化する品質コスト(CoQ)とサステナビリティを管理する品質と同じように、費用とのつり合いで管理する
Business2:順守を計画し管理する順守の要件を確かめる(例:サステナビリティ)規制や社内方針として守る対象になる
Business5:リスクを計画し管理するリスク対応を実行する(例:サステナビリティのリスクを管理する)リスク登録簿に載せ、対応する

旧版(2021年版)のECOでは、どのタスクにもサステナビリティの語はありませんでした。つまり、旧版向けの教材にはほぼ載っていない論点です。順守の流れ全体はプロジェクトのコンプライアンス管理で整理しています。

なお、PMBOK ガイド第8版の日本語版では、sustainability は「持続可能性」と訳されています。教材や問題文で「持続可能性」と出てきたら、同じものと考えてください。

プロジェクトのサステナビリティとは?

ここでいうサステナビリティは、プロジェクトとその成果物が、環境・社会・経済に与える影響を長い目で考えることです。プロジェクトは期間が限られていますが、作った成果物はその後何年も使われます。その間のエネルギー消費、廃棄、地域や働く人への影響まで含めて考えます。

大事なのは、PMP が問うのは「PM の価値観」ではなく「マネジメントの仕事」だということです。サステナビリティを、要件・品質・リスク・報告のどこに入れて、どう管理するかが問われます。

計画で考えるべき環境・社会への影響は?

計画の段階では、次の観点で影響を洗い出します。どれを扱うかは、組織の方針、規制、顧客の要求で決まります。

計画で洗い出すサステナビリティの観点

プロジェクトと成果物の影響

  • 資源とエネルギー

    材料、電力、データセンターの消費

  • 排出と廃棄

    温室効果ガス、廃棄物、使い終わった後の処分

  • 調達

    取引先の環境・人権への取り組み

  • 働く人

    安全、労働時間、公正な扱い

  • 地域・社会

    騒音、景観、地域の住民への影響

  • 経済

    長く使える設計、運用費用

当サイトの整理。対象は組織の方針と規制で決める

洗い出したら、要件として文書にし、関係者と合意します。たとえば「データセンターは、再生可能エネルギーの比率が一定以上の事業者を選ぶ」は調達の要件です。「部品は分解して再利用できる設計にする」は製品の要件です。

Process1 の「重要な情報の要件」に当たるのは、何を測って誰に報告するかです。たとえば、排出量を四半期ごとにサステナビリティの担当へ報告する、といった決めごとです。

品質コストとサステナビリティはどう関係する?

2026年版のECOは、Process7 で「品質コストとサステナビリティを管理する」と並べています。品質コスト(CoQ)は、よい品質を保つ費用(予防・評価)と、品質が悪いことで生じる費用(内部・外部の失敗)を合わせて考える方法です。基本は品質コスト(CoQ)とはで扱っています。

サステナビリティも、同じ考え方で整理できます。

当サイトの整理
品質コストの区分サステナビリティでの例
予防のコスト環境に配慮した設計の検討、取引先の評価、チームの研修
評価のコスト排出量や廃棄量の測定、第三者による確認
内部の失敗のコスト基準を満たさない材料の作り直し・廃棄
外部の失敗のコスト規制違反の罰金、顧客の取引停止、評判の低下

品質と同じく、予防に早くお金をかけるほど、後の失敗のコストは下がりやすいという考え方です。ただし、予防にかける費用にも上限があります。どこまでやるかは、要件と予算のつり合いで関係者と決めます。

サステナビリティのリスクとは?

Business5 は、リスク対応の例として「サステナビリティのリスクを管理する」を挙げています。サステナビリティのリスクには、次のようなものがあります。

  • 規制のリスク:環境に関する規制や報告の義務が、プロジェクトの途中で強まる。
  • 調達のリスク:取引先の環境・人権の問題が見つかり、取引を続けられなくなる。
  • 物理的なリスク:豪雨や猛暑などで、工事や物流が止まる。
  • 評判のリスク:成果物の環境への影響が批判され、利用者が離れる。
  • 好機(プラスのリスク):省エネ設計で運用費が下がる、補助金を受けられる、など。

これらも他のリスクと同じく、リスク登録簿に載せ、確率と影響を評価し、対応策とオーナーを決めます。データの扱いに関わるリスクは、プロジェクトの情報セキュリティ対策も参考になります。

予測型とアジャイルでは扱い方が違う?

要件として扱う点は同じですが、入れる場所と見直し方が違います。

当サイトの整理。ハイブリッドでは両方を組み合わせる
観点予測型アジャイル
要件の入れ方要求事項の文書とスコープに書き、合意するバックログの項目や、完了の定義(DoD)に入れる
途中で要望が出たら変更要求として変更管理にかけるプロダクトオーナーが優先順位を付けて取り込む
測定と報告計画で決めた指標を、定期の報告に載せるスプリントレビューなどで、指標の推移を見せる

どちらでも、チームが独自の判断で対策を足すのではなく、決められた場で優先順位と合意を得ることが前提です。

PMP試験ではサステナビリティがどう問われる?

まだ新しい論点なので、出題の傾向が固まっているとは言えません。ECO の書き方から考えると、次のような判断が問われると予想できます。

  • 要件として扱う:関係者がサステナビリティの要望を出したら、要件として確かめ、優先順位を付け、合意を得る。
  • 勝手に足さない:PM やチームの判断で環境対策を足すと、スコープの無断変更(ゴールドプレーティング)になります。必要なら変更管理を通します。
  • 順守は省けない:環境の規制や社内方針で決まっているものは、費用や期限を理由に外せません。
  • 測って報告する:何を測るか決めずに「配慮した」とだけ報告するのは不十分です。

開発の進め方(予測型・アジャイル・ハイブリッド)の選び方にも影響することがあります。要件が変わりやすいなら、段階的に作って確かめる進め方が向く場合もあります(予測型かアジャイルかを見分ける方法)。

新しい論点ほど、問題で判断の筋道を確かめておくと安心です。タスク別ドリルでは、Business2・Business5 を分けて練習できます。

確認問題1

チームが独自に環境対策を加えた

(当サイトの独自問題)オフィス移転のプロジェクトで、チームのメンバーが「環境によいから」と、照明を省エネ型に切り替える手配を進めていました。承認されたスコープにない変更ですが、費用は予算の範囲内に収まる見込みです。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。よい意図でも、承認されたスコープにない変更は、変更管理を通す必要があります。費用・スケジュール・保守への影響を整理し、変更要求として判断してもらいます。

1・4:承認を経ないスコープの変更になります。3:提案自体には価値があるかもしれず、検討せずに退けるのは早すぎます。

確認問題2

取引先の環境違反が発覚した

(当サイトの独自問題)製品開発のプロジェクトで、主要部品の供給元が、環境規制に違反して罰則を受けたと報道されました。組織の調達方針では、こうした違反のある取引先との新規の契約を禁じています。次の発注は1か月後です。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。まず事実を確かめ、組織の調達方針に照らして対応を決めます。代わりの供給元が必要なら、スケジュールや費用への影響も検討し、リスクとして扱います。

1:方針に関わる問題が起きているのに、手を打たずに待っています。2:調達部門の手続きを飛ばし、PM が独断で取引を止めています。3:例外を求める前に、方針に沿った対応を検討するのが先です。

確認問題3

サステナビリティの報告を求められた

(当サイトの独自問題)新しいデータセンター構築のプロジェクトが始まりました。スポンサーから「経営層に、このプロジェクトの環境への影響を定期的に報告したい」と言われました。計画書には、環境に関する指標の記載がありません。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。何を、どう測り、いつ誰に報告するかは、計画で決める重要な情報の要件です。スポンサーと合意して計画に入れておけば、途中から測り始めて抜けが出ることを防げます。

1:建設中の影響(資材・工事)が抜けます。2:建設中の影響を報告するのはプロジェクトの責任で、運用部門に任せきりにはできません。4:他社の数値では、このプロジェクトの実態を表せません。

よくある質問

サステナビリティは旧版のECOにもありましたか?

ありません。2021年版のECOのタスクとイネーブラーには、サステナビリティの語は出てきません。2026年版で、計画・品質・順守・リスクの4つのタスクに例として加わりました。

サステナビリティの問題では、環境によい選択肢を選べば正解ですか?

そうとは限りません。PMP では、サステナビリティを要件・品質・リスクとして正しい手順で扱うかが問われます。承認を経ずに対策を足す選択肢は、よい意図でも誤りになることがあります。

「持続可能性」と「サステナビリティ」は違うものですか?

同じものです。PMBOK ガイド第8版の日本語版では、sustainability が「持続可能性」と訳されています。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline(2026年版・PDF)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline(2021年版・PDF)

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