パレート図とは?
パレート図(Pareto chart)は、不具合やクレームなどを種類ごとに数え、多い順に棒グラフで並べ、累積比率の折れ線を重ねた図です。日本では品質管理の「QC七つ道具」の一つとして知られています。
名前は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートに由来します。パレートは、富の多くが少数の人に集中しているという偏りを示しました。のちに品質管理の分野で、「品質問題の多くは少数の原因から生じる」という考え方に応用され、パレート図として広まりました。
パレート図を使うと、件数の多い少数の原因と、件数の少ない多くの原因を区別できます。限られた時間と予算で、どの原因から対策すると効果が大きいかを決めるための図です。
パレート図の作り方は?
例として、社内システムへの問い合わせ100件を種類ごとに数えたデータで作ります。
- データを集めて分類する:期間と対象を決め、種類ごとに件数を数える。
- 多い順に並べる:件数の多い順に並べる。「その他」はどれだけ多くても最後に置く。
- 比率と累積比率を計算する:各項目の件数÷合計で比率を出し、上から足していく。
- 棒グラフを描く:左の縦軸を件数にして、多い順に棒を並べる。
- 累積比率の折れ線を重ねる:右の縦軸を0〜100%にして、累積比率の点を結ぶ。
| 種類 | 件数 | 比率 | 累積比率 |
|---|---|---|---|
| 画面の表示崩れ | 45 | 45% | 45% |
| 入力エラー | 30 | 30% | 75% |
| 動作が遅い | 12 | 12% | 87% |
| 印刷できない | 8 | 8% | 95% |
| その他 | 5 | 5% | 100% |
| 合計 | 100 | 100% | ― |
検算:45+30=75、75+12=87、87+8=95、95+5=100。上位2種類(表示崩れと入力エラー)で全体の75%、上位3種類で87%を占めています。
棒グラフにするとどう見える?
上の例を棒グラフにすると次のようになります。実際のパレート図では、ここに累積比率の折れ線が重なります。
- 画面の表示崩れ45件
累積45%
- 入力エラー30件
累積75%
- 動作が遅い12件
累積87%
- 印刷できない8件
累積95%
- その他5件
累積100%
上位2種類で75%。まずこの2つの原因を調べると、少ない手間で問い合わせを大きく減らせる。
Excelでパレート図を作るには?
Microsoft 365 版など最近の Excel には、パレート図を作る機能があります。手順は次のとおりです。
- 種類と件数の2列の表を作る:多い順に並べ替えておかなくても、グラフ側で並べ替えられます。
- 表を選んでグラフを挿入する:[挿入]タブの統計グラフ(ヒストグラムの仲間)から、パレート図を選びます。
- 仕上がりを確かめる:棒が多い順に並び、累積比率の折れ線が重なっていれば完成です。
注意点は「その他」の位置です。自動のパレート図は件数の多い順に並べるので、「その他」が途中に入ることがあります。最後に置きたいときは、表を自分で並べて累積比率の列を作り、棒と折れ線の複合グラフで描きます。
パレート図の機能がない古い Excel でも、この複合グラフの方法なら作れます。
パレート図の読み方のコツは?
図ができたら、次の4点を見ます。
- 折れ線の立ち上がり:最初の数本で折れ線が急に上がるほど、原因が少数に集中しています。
- 折れ線がまっすぐに近い:偏りが小さいサインです。工程別・時間帯別など、分類の切り口を変えると偏りが見えることがあります。
- 「その他」の大きさ:「その他」が大きいなら分類が粗すぎます。中身を見て分け直します。
- 80%の目安:累積比率が80%前後に届くまでの項目を、重点的に対策する候補にします。
在庫管理などで使われる ABC 分析も、累積比率で上位からグループに分けて重点を決める考え方です。区切りの比率は、目的に合わせて決めます。
80対20の法則とは?
80対20の法則(パレートの法則)は、「結果の約80%は、約20%の原因から生まれる」という経験則です。売上の8割を2割の顧客が生む、不具合の8割を2割の原因が生む、といった形で使われます。
注意したいのは、80と20はあくまで目安だという点です。実際のデータが「70対30」や「90対10」になることは普通にあります。大切なのは数字ではなく、「重い原因から対処する」という考え方です。
件数が少なくても重大な原因(安全に関わる不具合など)は、順位とは別に優先して扱います。パレート図は件数(頻度)で並べた図だからです。影響の大きさが違う場合は、金額や重大度で重み付けしたデータで作り直すこともあります。
品質改善ではどう使う?
パレート図は、品質改善の流れの中で「どこに集中するか」を決める場面で使います。よくある使い方は次の流れです。
- 1
データを集める
チェックシートなどで不具合を種類別に数える
- 2
パレート図で絞る
件数の多い上位の種類を選ぶ
- 3
原因を掘り下げる
特性要因図やなぜなぜ分析で根本原因を探す
- 4
対策を打つ
根本原因に対する対策を実施する
- 5
効果を確かめる
もう一度パレート図を作り、対策前と比べる
パレート図は「どれを直すか」を決める図。「なぜ起きたか」は特性要因図で探す。
パレート図で上位の問題を選んだら、その原因を掘り下げるのが次の一歩です。原因の探し方は 特性要因図(フィッシュボーン)とは? で解説しています。対策の前後で同じ形のパレート図を並べると、改善の効果を関係者に見せやすくなります。
PMP試験の図表問題ではどう出る?
ECO 2026年版では、品質のタスク(成果物の品質を計画・最適化する)に、品質のレビューや継続的な改善が含まれています。また、図やグラフを読んで答える図表問題が新しく加わりました。パレート図は、次のような形で問われやすい図です。
- どの原因から対策すべきか:件数の多い上位の原因を選ぶ。
- 累積比率の読み取り:上位いくつで全体の何%になるかを読む。
- 次の一手:パレート図で絞ったあと、根本原因の分析に進む。
- 図の使い分け:時間による変化を見るなら 管理図、原因を整理するなら特性要因図、頻度の偏りを見るならパレート図。
品質以外では、スケジュールの ガントチャート なども図表問題の題材になります。受け入れの段階で品質をどう確かめるかは スコープの妥当性確認 で扱っています。図表問題は 無料模試30問 でも試せます。
確認問題1
改善の優先順位
(当サイトの独自問題)通販サイトの物流改善プロジェクトで、1か月の顧客クレーム100件を分類した。内訳は、配送遅れ52件、梱包の破損21件、誤配送14件、問い合わせ対応8件、その他5件だった。改善に使える予算と人員は限られている。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。配送遅れだけで全体の52%を占めます。限られた資源は、効果が最も大きい原因に集中し、まず根本原因を分析します。
1:資源を均等に分けると、効果が薄まります。3:件数の少ない原因から始めると、全体への効果が小さくなります。4:判断に足るデータはすでにあり、集め直すと対策が遅れます。
確認問題2
累積比率の読み取り
(当サイトの独自問題)確認問題1のデータ(配送遅れ52件、梱包の破損21件、誤配送14件、問い合わせ対応8件、その他5件)でパレート図を作った。上位の項目から順に足したとき、累積比率が初めて80%を超えるのは何項目目か。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:3。52+21=73%、73+14=87%なので、3項目目で初めて80%を超えます。
1:52%で80%に届きません。2:73%で80%に届きません。4:95%ですが、80%を初めて超えるのは3項目目です。
確認問題3
パレート図の後の一手
(当サイトの独自問題)製造ラインの不良をパレート図で分析し、「はんだ付け不良」が全体の6割を占めるとわかった。チームは「とにかく検査を増やそう」と言っている。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:1。パレート図でわかるのは「どの種類が多いか」までです。なぜ起きるかを分析しないと、効く対策を選べません。品質は検査で作るより、工程に作り込む方が効果的です。
2:検査を増やしても、不良の発生そのものは減りません。3:原因がわからないまま委託しても、同じ問題が起きるおそれがあります。4:基準をゆるめるのは、品質の問題を隠すだけです。