OPAとEEFの違いは?結論から
OPA(Organizational Process Assets:組織のプロセス資産)は、組織が蓄えてきた「使える道具」です。方針、手順書、テンプレート、過去のプロジェクトの記録や教訓が入ります。プロジェクトはこれを使い、終わったら新しい教訓などを足して更新します。
EEF(Enterprise Environmental Factors:組織体の環境要因)は、プロジェクトの「周りの条件」です。組織の文化、市場の状況、法律や規制、社内の設備やシステム、人材の状況などです。プロジェクトはこれを受け入れ、それに合わせて計画します。資料によっては「事業環境要因」と訳されています。
どちらも、PMP を認定するPMIの PMBOK ガイドで使われてきた用語です。
OPA(組織のプロセス資産)
- ひとことで組織が持つ資産・道具
- 例方針・手順・テンプレート
- 中身過去の記録・教訓・データ
- プロジェクトとの関係プロジェクトが使い、更新もする
- どこにあるか組織の内側にだけある
EEF(組織体の環境要因)
- ひとことでプロジェクトを取り巻く条件
- 例文化・体制・インフラ・市場・規制
- 中身現状の事実や制約
- プロジェクトとの関係プロジェクトは基本的に変えられない
- どこにあるか組織の内側にも外側にもある
当サイトの整理
OPAには何が入る?(方針・手順・過去の情報)
OPA は大きく2つに分けると覚えやすくなります。
- プロセス・方針・手順:プロジェクトの進め方の標準、変更管理の手順、調達の規程、品質の基準、承認の方法、報告書や計画書のテンプレート、セキュリティの方針など。
- 組織の知識の蓄え:過去のプロジェクトの記録(スケジュール・コストの実績)、教訓登録簿、リスクの記録、構成管理の記録、過去の見積もりのデータなど。
どちらも「組織の内側で作られ、プロジェクトが使えるもの」です。手順書のように一度決めたら変えにくいものもあります。教訓やデータのように、プロジェクトのたびに増えるものもあります。
EEFには何が入る?(文化・市場・規制)
EEF は、プロジェクトの外から影響を与える条件です。組織の中にあるものと、外にあるものがあります。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 組織の内側のEEF | 組織文化・価値観、組織の構造(機能型・マトリックス型など)、社内の設備やITインフラ、従業員のスキルと人数、地理的な拠点の分布 |
| 組織の外側のEEF | 市場の状況・競合、法律・規制・業界基準、政治や経済の状況、為替、社会や文化の傾向、天候などの物理的な条件 |
ポイントは、組織の中にあるからといって OPA とは限らないことです。組織文化や社内のサーバーは組織の中にあります。しかし、プロジェクトが使う「手順や記録」ではなく、受け入れる「条件」なので EEF です。
EEF はプロジェクトを縛るだけではありません。新しい技術の普及や市場の伸びのように、追い風になる条件もあります。
迷ったときの見分け方は?
次の2つの質問で、ほとんどの例を見分けられます。
- それは文書・記録・手順か? 方針書、テンプレート、過去のデータ、教訓なら OPA の可能性が高いです。
- プロジェクトが更新して組織に返せるか? 教訓や実績データのように、更新して次に渡せるなら OPA。文化や法律のように、合わせるしかないなら EEF です。
| 例 | 区分 | 理由 |
|---|---|---|
| 前のプロジェクトの教訓登録簿 | OPA | 組織の知識の記録。プロジェクトが更新する |
| 変更管理の手順書 | OPA | 組織の手順。プロジェクトが使う |
| 新しい個人情報保護の規制 | EEF | 外部の規制。合わせるしかない |
| 「失敗を報告しにくい」社風 | EEF | 組織文化。条件として受け止める |
| 社内標準の見積もりシート | OPA | テンプレート |
| 社内の開発用サーバーの性能 | EEF | 組織のインフラ。条件になる |
| 社内で使える要員の人数とスキル | EEF | 人材の状況。プロジェクトがすぐには変えられない |
2026年版ECOでOPAはどう扱われる?旧版との違い
2026年版のECOでは、OPA という語がタスクのイネーブラーに2か所出てきます。
- Business1(ガバナンス):構造・ルール・手順・報告・倫理・方針を、OPA を使って説明し確立する。
- Business6(継続的改善):教訓を使い、改善のプロセスを更新し、OPA を更新する。
旧版(2021年版)のECOのタスク文には、OPA という語は出てきませんでした。2026年版では、OPA を使う・返すの両方向が試験範囲に明示されたことになります。「OPA を使ってガバナンスを作る」と「プロジェクトで得たことを OPA に返す」です。ガバナンスとの関係はプロジェクトガバナンスの解説で詳しく扱っています。
語は出てきませんが、Process8(スケジュール)の「ベンチマークと過去のデータを使う」も、中身は OPA の活用です。
EEF という語は、2026年版のタスク文にはありません。ただし、組織文化の評価(Business7)や外部環境の変化(Business8)は、内容としては EEF そのものです。語が出なくても、考え方は問われます。
OPAを更新するのはどんな場面?
OPA は使うだけでなく、プロジェクトの途中や終わりに更新します。主な場面は次のとおりです。
- 教訓が得られたとき:フェーズの終わり、ふりかえりの後、大きな問題を解決した後など。終わりにまとめてではなく、得られたときに残します。
- 手順がうまく働かなかったとき:変更管理の手順が遅すぎた、テンプレートに必要な項目がなかった、などを PMO や手順の持ち主に伝えて改訂を提案します。
- プロジェクトの終結時:実績データ、最終の教訓、リスクの記録、文書一式を保管し、次のプロジェクトが使える形にします。
手順の改訂は、PM が勝手に書き換えるものではありません。手順の持ち主(多くは PMO)に提案し、組織として承認を得て更新します。PMO の役割はPMOの役割と3つのタイプで整理しています。
PMP試験ではOPAとEEFがどう問われる?
用語の定義をそのまま聞く問題より、状況の中で使い分ける問題が中心です。
- 計画の初めに何を見るか:似たプロジェクトの記録や教訓(OPA)をまず確認する、という選択肢が正解になりやすいです。
- 動かせない条件への対応:新しい規制や組織文化(EEF)は「変える」より「影響を評価して計画に反映する」のが基本です。
- 得た知識をどうするか:プロジェクトで分かったことを、個人のメモで終わらせず OPA に返す選択肢が適切です。
規制のような EEF が変わったときは、リスクとして扱うことも多くなります。流れはリスクマネジメントの流れを参照してください。状況問題での見分けに慣れるには、タスク別ドリルで Business の問題を続けて解くのが効率的です。
確認問題1
見積もりの前に何を見るか
(当サイトの独自問題)あなたは社内の基幹システム更新プロジェクトの PM に任命されました。組織は5年前にも同じ規模の更新を行っています。スポンサーからは、来週までに概算の期間と費用を示すよう求められています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。組織に残っている過去の実績と教訓は OPA です。似た案件の記録を使えば、短い期間でも根拠のある概算を出せます。
1:詳細な積み上げは、概算の段階では時間がかかりすぎます。2:業界の平均より、自社の実績のほうが条件が近く役に立ちます。3:概算は不確かさを示したうえで出せるので、待ってもらう理由になりません。
確認問題2
新しい規制が施行される
(当サイトの独自問題)顧客データを扱うアプリの開発中に、半年後から個人データの保存場所に関する新しい規制が施行されると分かりました。現在の設計では、データの一部を国外のサーバーに保存する予定です。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:2。新しい規制は、プロジェクトが変えられない EEF です。影響を評価し、法務などの関係者とともに、設計・スケジュール・コストへの影響を整理して対応を決めます。
1:今の設計(国外のサーバーに保存)は、半年後の施行で規制に反するおそれがあります。リリース後に確かめると、作り直しや違反につながります。3:プロジェクトの範囲を超え、問題の解決になりません。4:影響を分析しないまま設計を変えると、別の問題を生む恐れがあります。変更管理も通していません。
確認問題3
OPAに当たるもの(用語)
(当サイトの独自問題)PM がプロジェクトの立ち上げで、次の4つの情報を集めました。このうち、組織のプロセス資産(OPA)に当たるものはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:1。標準の手順書は、組織が持ちプロジェクトが使う資産なので OPA です。
2:組織文化は EEF です。3:市場の状況は外側の EEF です。4:社内のインフラは組織の中にあっても、受け入れる条件なので EEF です。