PMP問題集は何を基準に選べばいい?
一番の基準は、新しい ECO(2026年版)に合っているかです。ECO は PMI が公開する試験内容の概要で、試験はこれをもとに作られます。
2026年7月9日から、配分と形式が大きく変わりました。旧版は People 42%・Process 50%・Business Environment 8% でした。新版は People 33%・Process 41%・Business Environment 26% です。タスクは35から26に整理されました。
形式では、ケーススタディと図表問題が加わりました。ケーススタディは、詳しい状況文とグラフを読んで、続けて複数の問いに答える形式です。
書店や通販には、旧版を前提にした問題集がまだ多く並んでいます。旧版でも基本の考え方は学べます。ただ、それだけで準備すると、Business Environment と新しい形式の練習が足りなくなります。
「PMBOK 第7版対応」とだけ書かれた本は、旧版の時期に作られた可能性があります。「第8版対応」でも、試験の配分に合わせたとは限りません。PMI は、試験が特定の1冊にもとづいて作られるわけではないとしています。変更点の全体はPMPの新ECO(2026年版)の解説にまとめています。
チェック1:26タスクに対応しているか?
まず目次を見ます。新しい ECO に合わせた問題集なら、26タスクごとに問題が分かれています。26タスクの内訳は People 8・Process 10・Business Environment 8 です。少なくとも、各問題にどのタスクかが書かれています。
注意したいのは、旧版の35タスクのままの章立てです。PMBOK ガイドの知識エリア(統合・スコープなど)だけの章立ても、新試験とのずれが大きくなります。新 ECO のタスクの一部が手薄になりやすいからです。たとえば知識の移転(People)、価値に基づくデリバリー(Process)、コンプライアンスや組織変革、外部環境の変化(Business Environment)です。
タスクごとに分かれていると、間違えた問題をタスク別に数えられます。弱いタスクが分かれば、残りの時間の使い道が決まります。当サイトのタスク別ドリルも、この考え方で26タスクに分けています。
チェック2:ケーススタディ・図表問題があるか?
新しい ECO は、問題の形式として単一選択・複数選択・マッチング・プルダウン・図のクリックを挙げています。これにケーススタディと図表問題が新しく加わりました。
問題集で確かめたいのは次の3点です。
- 1つの状況文に、複数の問いが続く問題があるか
- バーンダウンチャートや進捗のグラフ、リスクの表を読んで答える問題があるか
- 「2つ選べ」のような複数選択の問題があるか
紙の問題集では、ドラッグ&ドロップのような操作は再現しにくいので、その部分は Web の模試で補います。
ケーススタディの練習が大切なのは、時間の使い方が違うからです。状況文を一度読めば複数の問いに答えられますが、最初の読み込みに時間がかかります。本番では、ケーススタディの区切りの後に1回目の休憩があり、休憩に入ると前の区切りには戻れません。
問題集にケーススタディがない場合も、練習はできます。長い状況文を読み、要点(誰が困っているか・何が制約か・どの進め方か)を3行にまとめてみてください。
チェック3:アジャイル・ハイブリッドが約6割か?
新しい ECO では、予測型(ウォーターフォール型)の問題が約40%です。残りの約60%は、アジャイル(適応型)とハイブリッドの問題です。どの進め方も、3つの領域すべてに出てきます。
問題集をめくって、スプリント、プロダクトオーナー、バックログ、ベロシティといった言葉が出てくる問題の割合を見てください。ガントチャートやベースライン、変更管理委員会など予測型の問題ばかりなら、新試験の配分とは合っていません。
ハイブリッドの問題があるかも見ます。たとえば「設備は予測型で、ソフトウェアはスプリントで進める」状況で、どちらの考え方で判断するかを問う問題です。新試験らしい問題の1つです。
チェック4:選択肢ごとの解説があるか?
PMP の問題は、どの選択肢もそれらしく見えます。正解の理由だけの解説では、自分の選んだ選択肢がなぜだめなのかが分かりません。同じ判断のずれを繰り返します。
良い解説は、4つの選択肢それぞれについて、正しい理由と誤りの理由を書いています。さらに、どのタスクのどの考え方を問う問題かまで書いてあれば、復習の効率が上がります。考え方とは、まず状況を確かめる、チームに任せる、決められた手順を通す、などです。
試し読みができるなら、解説のページを1つ読んでから決めてください。一問一答の用語クイズが中心の問題集は、状況問題の練習には向きません。
チェック5:日本語訳の質と英語の併記は?
PMP は日本語で受験できます。日本語を選んでも、コンピューターで受ける試験では、問題ごとに英語の原文を表示できます(PMI 認定資格ハンドブック)。本番で訳に迷ったとき英語で確かめられるように、問題集も日英を見比べられるものだと練習になります。
翻訳された問題集では、用語の訳のぶれに注意します。たとえば stakeholder の訳が「ステークホルダー」と「利害関係者」で揺れていると、問題の意図を読み違えます。issue の「課題」と「問題」も同じです。用語の対訳表があるかも確かめてください。
| チェック | 確かめ方 | 満たさないときの補い方 |
|---|---|---|
| 1 26タスク対応 | 目次または各問題にタスクの記載があるか | 誤答を自分でタスクに割り当てて数える |
| 2 ケース・図表 | 1つの状況に複数の問い、グラフを読む問題があるか | 新形式を含む Web 模試で補う |
| 3 アジャイル約6割 | スプリント・バックログ等の問題の割合 | アジャイル・ハイブリッドの問題を別に解く |
| 4 選択肢ごとの解説 | 誤りの選択肢の理由まで書いてあるか | 選択肢ごとの理由を自分で書いて復習する |
| 5 日本語訳と英語 | 英語の原文や対訳表があるか | 日英を切り替えられる問題で練習する |
買う前に5分で確かめるには?
書店や試し読みのページで、次の順に確かめます。全部で5分ほどです。
目安の問題数 = めくった問題数 × 新 ECO の比率
- 1Business Environment:20問 × 26% ≒ 5問
- 2アジャイル・ハイブリッド:20問 × 60% = 12問
- 3予測型:20問 × 40% = 8問
- 4旧版の Business Environment:20問 × 8% ≒ 2問
Business Environment が1〜2問しかなければ、旧版の配分で作られている可能性が高い
- 発行日・更新日を見る(2026年7月の新試験に向けて改訂されたか)
- 目次で、26タスクか3領域の名前を探す
- 問題を20問めくり、Business Environment とアジャイル・ハイブリッドの問題を数える
- 解説を1つ読み、誤りの選択肢の理由まであるかを見る
- 長い状況文やグラフの問題、複数選択の問題があるかを見る
Business Environment の問題は、テーマで見分けます。ガバナンス、コンプライアンス、変更、課題、リスク、継続的改善、組織変革、外部環境の変化です。20問は少ないので、数は目安として使ってください。
問題集の種類ごとの向き不向きは?
「問題集」と呼ばれるものには、書籍のほかに Web やアプリ、動画講座の練習テストもあります。種類ごとに得意な役割が違うので、組み合わせて使います。
| 種類 | 強み | 弱み | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 書籍の問題集 | 書き込める。通読して全体を見渡せる | 改訂が遅い。操作を伴う形式は練習できない | 基礎の確認と、解説を読み込む復習 |
| Web の問題集・模試 | 新形式を本番に近い画面で解ける。更新が早い | 提供元により質と更新状況に差がある | タスク別の演習と、180問の通し練習 |
| スマホのアプリ | スキマ時間に数問ずつ解ける | 長い状況文や図表は見づらい | 短い問題の演習と、誤答の見直し |
| 動画講座の練習テスト(Udemy など) | 数百問単位で買える | 操作を伴う形式は講座による。修了証は出ない | 研修の後の演習 |
| PMI 公式の演習(Study Hall・Practice Exam) | 試験を作る PMI 自身の練習問題 | 英語が中心。有料で価格は時期や会員かで変わる | 仕上げの時期に本番の雰囲気を知る |
どの種類でも、5つのチェックは同じように使えます。アプリやストアの説明が「2021年1月からの試験に対応」のままなら、旧版の配分で作られています。
「本番の問題」「的中」をうたう問題集は使っていい?
使わないでください。PMI 認定資格ハンドブックは、試験の問題を PMI の所有物で機密としています。受験者は申請の時に、試験後に問題について話し合わないことにも同意します。違反すると、資格の取り消しなどにつながることがあります。
「本番の再現」「的中」をうたう問題は、正解や解説が誤っていることも多く、間違った判断の型を覚える危険があります。出どころがはっきりした独自の問題で練習してください。過去問がない理由と代わりの練習法はPMPの過去問は公開されていないで説明しています。
問題集は何冊・何問解けばいい?
問題集は、5つのチェックをできるだけ満たすものを1冊で十分です。複数冊を中途半端に解くより、1冊を2周して、間違えた問題を3周目に解き直すほうが点につながります。
量の目安は、26タスクすべての問題を1周し、誤答の多いタスクを2周目に回すことです。参考までに、当サイトのタスク別ドリルは26タスクで755問(1タスク約29問)、本番形式の模試は180問×4回です。新形式と本番の時間配分は、こうした模試で補います。
買う前に、自分の弱い領域を知っておくと選びやすくなります。登録不要の無料模試30問で3領域の正答率を確かめ、弱い領域の問題が多い教材を選んでください。独学での教材の組み合わせ方はPMPは独学で合格できるかで、無料の模試の比べ方はPMPの無料模試まとめで説明しています。