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ローリングウェーブ計画法とは?使い方の例と段階的詳細化との関係

ローリングウェーブ計画法の意味と使い方を、1年間の計画の例で解説。段階的詳細化・計画パッケージとの関係、メリットとよくある失敗、アジャイルとの違い、PMP試験での問われ方まで。確認問題3問つき。

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約9分
執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • ローリングウェーブ計画法は、近い時期の作業は詳しく、遠い時期の作業は大まかに計画し、時間が進むにつれて順に詳しくする方法です。
  • 情報が増えるにつれて計画を詳しくする「段階的詳細化」を、作業とスケジュールの計画に当てはめた手法です。
  • 先の部分は、予算と期間の枠を持った計画パッケージとして置いておきます。詳しくするタイミングを決めておくのが、失敗しないコツです。
  • わからない部分を無理に決めないので、手戻りが減ります。アジャイルの考え方とも共通点があります。

ローリングウェーブ計画法とは?

ローリングウェーブ計画法(Rolling Wave Planning)は、近い将来の作業は詳しく、遠い将来の作業は大まかに計画する方法です。時間が進むにつれて、次の期間を順に詳しくしていきます。

名前は「押し寄せる波」のイメージから来ています。目の前の波(直近の作業)ははっきり見えますが、遠くの波(先の作業)はぼんやりしか見えません。波が近づいたら、その波を詳しく見て対応します。

たとえば1年がかりのプロジェクトで、最初の3か月分は日単位まで決めます。4か月目以降は「設計」「開発」「テスト」くらいの粒度にしておきます。3か月目に入るころ、それまでにわかったことをもとに、次の3か月を詳しく計画します。

段階的詳細化との関係は?

段階的詳細化(Progressive Elaboration)は、情報が増えるにつれて計画を詳しくしていく、広い考え方です。情報が増えれば、見積りの精度も上がります。スコープ、コスト、リスクなど、計画のあらゆる部分に当てはまります。

ローリングウェーブ計画法は、この段階的詳細化を、主に作業とスケジュールの計画に当てはめた具体的な手法です。関係を図にすると次のようになります。

段階的詳細化とローリングウェーブ計画法の関係
  1. 段階的詳細化(考え方)情報が増えるにつれ、計画のあらゆる部分を詳しくする
  2. ローリングウェーブ計画法(手法)近い作業は詳しく、遠い作業は粗く。時間とともに次の期間を詳しくする
  3. 計画パッケージ(道具)まだ細かく分けていない、先の作業の入れ物

考え方→手法→道具の順に具体的になる。

段階的詳細化は、計画をいいかげんに作ることではありません。先のことも、わかる範囲で大まかに計画し、予算や期間の枠は持っておきます。わからない部分を無理に細かく決めないだけです。

計画パッケージとは?

計画パッケージ(Planning Package)は、WBS の中で中身はある程度わかっているが、まだアクティビティに分けていない部分です。予算の枠は割り当てておき、詳しい計画は後で立てます。

ローリングウェーブ計画法では、遠い時期の作業を計画パッケージとして置いておきます。時期が近づいたら、ワーク・パッケージやアクティビティに分けていきます。WBS の作り方は WBSとは? で解説しています。

例:1年間の社内システム導入(4月時点の計画の詳しさ)
時期作業計画の詳しさ
4〜6月要件定義・基本設計アクティビティ単位で日程・担当まで決定
7〜9月詳細設計・開発ワーク・パッケージ単位(大まかな期間と予算)
10〜12月テスト計画パッケージ(予算の枠と大まかな期間だけ)
1〜3月移行・研修・本番稼働計画パッケージ(同上)

6月が近づいたら、要件定義でわかったことをもとに7〜9月を日単位まで詳しくします。同時に、10〜12月をワーク・パッケージ単位に分けます。これを繰り返していきます。

次の期間はいつ詳しくする?

ローリングウェーブ計画法で一番大事なのは、詳しくするタイミングを先に決めておくことです。よく使われる区切りは次の3つです。

  • 段階(フェーズ)の終わりの前:今の段階が終わる数週間前に、次の段階を詳しくする。
  • 一定の間隔:毎月の計画会議で、次の数か月分を詳しくする。
  • 大事な時点の前:試験の結果や契約の締結など、先の判断に必要な情報が出る時点の後に詳しくする。

どの区切りでも、作業する人たちと一緒に詳しくします。それまでにわかったことを使えるので、見積りの精度が上がります。

メリットとよくある失敗は?

メリットは、わからない部分を無理に決めずに済み、手戻りが減ることです。わかっている部分には早く手を付けられ、計画を作る手間も必要な時期に分散できます。

一方で、使い方を誤ると「計画がないまま進む」状態になります。よくある失敗と対策をまとめました。

ローリングウェーブ計画法のよくある失敗と対策(当サイトの整理)
よくある失敗起きること対策
詳しくするタイミングを決めていない直前まで先の計画が粗いまま残る段階の終わりの前など、詳しくする時期を計画に入れておく
先の部分に予算と期間の枠がない全体の見通しが立たず、承認も得にくい計画パッケージにも予算と期間の枠を割り当てる
PM が一人で詳しくする見積りが外れ、現場が納得しない作業する人たちと一緒に見積もる
詳しくした結果、枠を超えても放置するベースラインと実態がずれる枠を超えるなら、変更管理の手続きで扱う

アジャイルとの共通点は?

ローリングウェーブ計画法は予測型の手法ですが、考え方はアジャイルとよく似ています。

ローリングウェーブ計画法とアジャイルの比較
ローリングウェーブ計画法アジャイル(スクラムの例)
近い作業詳しく計画する次のスプリントの分をスプリント・プランニングで詳しく決める
遠い作業計画パッケージとして大まかにプロダクト・バックログの下の方は粗い粒度のまま
見直しのタイミング期間の区切りや段階の終わりスプリントごと
全体の枠スコープ・ベースラインは保つスコープは変わりうる。時間と費用の枠を固定することが多い

共通しているのは、「先のことは不確かなので、わかった時点で詳しくする」という姿勢です。違いはスコープの扱いです。予測型では全体のスコープを最初に合意して保ち、アジャイルではスコープ自体を優先順位に応じて変えていきます。アジャイルで期間を区切る考え方は タイムボックスとは? で解説しています。

PMP試験ではどう問われる?

ECO 2026年版の Process 領域には、統合した計画をつくるタスクがあります。選んだ進め方に応じてスケジュールを準備するタスクも含まれます。ローリングウェーブ計画法は、次のような場面で答えになります。

  • 先の工程の情報がまだない → 近い作業を詳しく計画し、先の作業は大まかにしておく。
  • スポンサーが最初から全工程の詳細な日程を求めている → 不確かさを説明し、段階的に詳しくする計画を提案する。
  • 長い予測型のプロジェクトで、後半の要件が未定 → ローリングウェーブ計画法やハイブリッドの進め方を検討する。

どの進め方を選ぶかの判断は 予測型とアジャイルの見分け方 で詳しく扱っています。用語の確認は 用語集 で、問題演習は 無料模試30問 でできます。

確認問題1

後半の情報がない

(当サイトの独自問題)2年がかりの工場建設プロジェクトで、後半の設備の仕様は、1年目の試験の結果を見て決めることになっている。スポンサーは全体の計画を早く承認したいと考えている。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。わかっている部分は詳しく、わからない部分は枠だけ持って大まかに計画します。情報が出たら詳しくするのがローリングウェーブ計画法です。全体の枠があれば、スポンサーも承認しやすくなります。

1:仮の仕様で細かく決めると、後で大きな手戻りが出ます。2・4:わかっている部分まで止めたり遅らせたりする必要はありません。

確認問題2

計画パッケージの意味

(当サイトの独自問題)WBS の「本番移行」は1年後に行う作業である。予算は割り当てられているが、細かいアクティビティにはまだ分けられていない。この要素の説明として最も適切なものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。予算の枠はあり、詳しい計画は時期が近づいてから立てる。これが計画パッケージです。

1:先の作業を今すぐ細かくする必要はありません。3:予算があるので、スコープには含まれています。4:本番移行は作業であり、時点ではありません。

確認問題3

詳しくするタイミング

(当サイトの独自問題)ローリングウェーブ計画法で進めているプロジェクトで、基本設計の段階がまもなく終わる。次の詳細設計の段階は、まだワーク・パッケージの単位でしか計画されていない。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。段階が近づいたら、それまでにわかったことを使って次の段階を詳しく計画します。作業する人たちと一緒に計画すると、見積りの精度も上がります。

1:始まってから決めるのでは遅すぎます。2:全体を作り直す必要はありません。3:必要な作業を省くと、品質を損ないます。

よくある質問

ローリングウェーブ計画法と段階的詳細化の違いは?

段階的詳細化は、情報が増えるにつれて計画を詳しくする広い考え方です。ローリングウェーブ計画法は、それを主に作業とスケジュールの計画に当てはめた具体的な手法です。

ローリングウェーブ計画法はアジャイルですか?

予測型の計画で使われる手法です。ただ「近い作業を詳しく、遠い作業は粗く」という考え方は、アジャイルと共通しています。

先の計画が粗いままで、承認してもらえますか?

先の部分にも予算と期間の枠を持たせれば、全体の見通しを示せます。詳しくする時期も計画に入れておくと、承認する側も判断しやすくなります。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline(2026年7月版, PDF)
  2. [2]PMI: PMBOK® Guide and Standards

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記事の次は、本番形式の問題で。

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