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PMP STUDY GUIDE計算問題(EVM・スケジュール)PMP

NPV(正味現在価値)の計算とIRR|PMPで出るプロジェクト選定の解き方

NPV(正味現在価値)は、将来の収入を現在価値に直して合計し、初期投資を引いた値です。計算式と例題、割引率による変化、IRRや回収期間法との違い、PMPの選定問題の解き方。確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • 将来のお金は、今のお金より価値が低いと考えます。将来の金額を (1 + 割引率) の年数乗で割ると、現在価値になります。
  • NPV = 将来の収入の現在価値の合計 − 初期投資。0より大きければ投資する価値があり、候補の比較では大きい方を選びます。
  • 割引率が上がるほど NPV は小さくなります。NPV がちょうど0になる割引率が IRR(内部収益率)です。
  • PMP の選定問題では、NPV にはすでに期間が反映されているので、「年数」で割ったり比べたりしません。

お金の時間価値とは?

今もらえる100万円と、1年後にもらえる100万円では、今の100万円の方が価値があると考えます。今のお金は運用すれば増やせるうえ、将来のお金には受け取れない不確かさもあるからです。これをお金の時間価値と呼びます。

将来の金額を今の価値に直すことを、「割り引く」と言います。割り引くときに使う率が割引率で、会社が投資に求める収益率などを使います。

現在価値(PV)の計算

現在価値 = 将来の金額 ÷ (1 + 割引率)^年数

  1. 11年後の 500万円、割引率 10% → 500 ÷ 1.1 ≒ 454.5万円
  2. 22年後の 500万円 → 500 ÷ 1.1² = 500 ÷ 1.21 ≒ 413.2万円
  3. 33年後の 500万円 → 500 ÷ 1.1³ = 500 ÷ 1.331 ≒ 375.7万円

遠い将来のお金ほど、今の価値は小さくなる

当サイトの架空の例

POINT

ここでの現在価値(Present Value)は、EVM の PV(計画価値)とは別のものです。略語が同じなので、問題文の文脈で区別してください。

NPVはどう計算し、どう判断する?

NPV(Net Present Value)は、正味現在価値と訳します。将来の収入をすべて現在価値に直して合計し、初期投資を引いた値です。割引率10%なら、NPV =(1年目の収入 ÷ 1.1 + 2年目の収入 ÷ 1.1² + …)− 初期投資 です。

(当サイトの架空の例)初期投資1,200万円で、3年間、毎年500万円の効果が見込めるプロジェクトがあります。効果とは、収入の増加や費用の削減です。これを割引率10%で評価します。

NPV の計算

NPV = 各年の収入の現在価値の合計 − 初期投資

  1. 11年目:500 ÷ 1.1 ≒ 454.5
  2. 22年目:500 ÷ 1.21 ≒ 413.2
  3. 33年目:500 ÷ 1.331 ≒ 375.7
  4. 4合計 ≒ 1,243.4
  5. 5NPV ≒ 1,243.4 − 1,200 = +43.4万円

NPV > 0 なので、投資する価値がある

当サイトの架空の例

NPV の判断
NPV意味判断
0より大きい求める収益率を上回る価値を生む投資する価値がある
0ちょうど求める収益率と同じ損も得もない
0より小さい求める収益率に届かない金銭面では見送る

割り引かずに足すと、500 × 3 − 1,200 = 300万円の得に見えます。割り引くと、得は43.4万円まで小さくなります。

同じ条件で毎年の収入が400万円なら、割り引く前はちょうど0です。しかし割り引いた後の合計は約994.7万円で、NPV は約 −205.3万円になります。時間価値を無視すると、判断を誤ることがあります。

POINT

表計算ソフトの NPV 関数は、1つ目の金額を「1年後」として割り引きます。初期投資(今すぐ払うお金)は関数に入れず、結果から引いてください。

割引率が変わるとNPVはどう変わる?

同じプロジェクトでも、割引率を変えると NPV は変わります。割引率が高いほど、将来の収入は大きく割り引かれ、NPV は小さくなります。

初期投資1,200万円・毎年500万円×3年のプロジェクト(万円・当サイトの架空の例)
割引率収入の現在価値の合計NPV判断
8%約1,288.6約 +88.6投資する価値がある
10%約1,243.4約 +43.4投資する価値がある
12%約1,200.9約 +0.9(ほぼ0)ほぼ損得なし
15%約1,141.6約 −58.4金銭面では見送る

NPV がほぼ0になるのは、割引率が約12%のときです。この約12%が、次に説明する IRR です。会社が求める収益率が12%より低ければ投資の価値があり、高ければ見送る、という判断になります。

IRR(内部収益率)とは?

IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)は、NPV がちょうど0になる割引率です。そのプロジェクトの「利回り」と考えると分かりやすくなります。

  • IRR > 会社が求める収益率(割引率) → NPV はプラス。投資する価値がある。
  • IRR < 会社が求める収益率 → NPV はマイナス。金銭面では見送る。
  • 候補の比較 → IRR が大きい方を選ぶ。

IRR は試行錯誤で求めるため、試験で計算させることはまずありません。「IRR が大きい方を選ぶ」「求める収益率と比べる」という判断の仕方を押さえれば十分です。

回収期間法とはどう違う?

選定に使う指標の比較(当サイトの整理)
指標時間価値見ているもの選び方
NPV考える価値の総額(規模)大きい方
IRR考える利回り(効率)大きい方
回収期間通常は考えない投資を取り戻す速さ短い方
BCR現在価値で比べれば考える費用1円あたりの便益大きい方

回収期間法は計算が簡単ですが、回収した後に得られる収入を見ません。長く効果が続くプロジェクトを低く評価しやすい点が弱点です。詳しくは 回収期間法の計算方法 で解説しています。BCR との違いは、費用便益分析とBCRの計算方法 を参照してください。

PMPの選定問題はどう解く?

PMP で NPV が出る問題の多くは、複雑な計算ではなく「どれを選ぶか」の判断です。次の3点を押さえます。

  1. NPV が示されていれば、大きい方を選ぶ。期間が書かれていても、NPV にはすでに期間が反映されているので、年数で割らない。
  2. IRR が示されていれば、大きい方を選ぶ。会社の求める収益率と比べる問題もある。
  3. 回収期間だけが示されていれば、短い方を選ぶ。ただし NPV などがあれば、そちらを優先する。

選ばなかった候補から得られたはずの価値を、機会費用と呼びます。NPV 120万円の A と 90万円の B から A を選べば、機会費用は B の90万円です。

ECO 2026年版の Process タスク3は「価値に基づく提供」です。プロジェクトを通じてビジネス価値を確かめることが含まれます。旧版(2021年版)では、タスク3にあたる内容が2つのタスクに分かれていました。Process タスク1 と、Business Environment タスク2 です。選定の時点だけでなく、実行中に前提が変わったときも、これらの指標で価値を確かめ直します。考え方は PMPの価値提供とは? で解説しています。

確認問題1

2年後の金額の現在価値

(当サイトの独自問題)顧客は、システムの納品から2年後に1,210万円を支払う条件を提案しています。会社の割引率は年10%です。営業部門から、この支払いの現在価値を聞かれました。正しいものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。1,210 ÷ 1.1² = 1,210 ÷ 1.21 = 1,000万円です。

2:1年分しか割り引いていません(1,210 ÷ 1.1)。3:割り引いていない金額です。4:1,210 から10%を引いた値(1,210 × 0.9)で、割引の計算ではありません。

確認問題2

期間の違う2つの候補

(当サイトの独自問題)ポートフォリオ委員会に、2つの候補の比較資料を出します。候補 A は期間5年で NPV 120万円、候補 B は期間2年で NPV 90万円です。どちらか一方しか選べません。金銭面の指標から推薦すべきものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。NPV は、時間価値を反映した後の価値の総額です。期間で割って比べる必要はなく、大きい方の A を選びます。

1:NPV を年数で割るのは誤りです(A 24万円/年、B 45万円/年と比べてしまう誤り)。2:回収の速さは、回収期間法など別の観点です。4:結論は正しいものの、理由が誤りです。期間が長いこと自体は、選ぶ理由になりません。

確認問題3

IRRが求める収益率に届かない

(当サイトの独自問題)提案中のプロジェクトの IRR は6.5%と試算されました。会社が新規投資に求める収益率は8%です。スポンサーから、財務面の評価を簡潔に説明するよう求められました。プロジェクト・マネジャーの説明として正しいものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。IRR は、NPV がちょうど0になる割引率です。求める収益率(8%)が IRR(6.5%)より高いので、8%で割り引くと NPV はマイナスになります。財務面では基準に届かないと説明し、判断はスポンサーやガバナンスに委ねます。

1:IRR がプラスでも、求める収益率より低ければ NPV はマイナスです。2:基準に届いていない事実を、軽く扱っています。3:IRR は NPV が0になる割引率なので、NPV の正負と直接つながっています。

次に何をすればいい?

現在価値の式(÷ (1 + 割引率)^年数)を1つ覚えれば、NPV は足し算と引き算で解けます。選定問題は「NPV は大きい方・年数で割らない」を確実にしてください。ほかの計算は PMPの計算問題の公式一覧 にまとめています。

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よくある質問

NPV と IRR で結論が分かれたら、どちらを優先しますか?

規模の違う候補では、結論が分かれることがあります。一般には価値の総額を表す NPV を重視する考え方が多いですが、試験では問題文が示す指標と条件に従って判断します。

割引率はだれが決めますか?

通常は組織(財務部門やポートフォリオの管理者)が、投資に求める収益率などをもとに決めます。プロジェクト・マネジャーが独自に決めるものではありません。

NPV の計算は試験で出ますか?

現在価値の簡単な計算が出る可能性はありますが、多くは示された NPV や IRR を比べて選ぶ問題です。式の意味と判断の仕方を押さえておきます。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline(2026年7月版。Process タスク3)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline(2021年1月版・旧版。Process タスク1、Business Environment タスク2)

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