コミュニケーションチャネル数とは?
コミュニケーションチャネルは、関係者の2人の間に生じる、情報のやり取りの経路です。3人なら、A−B、A−C、B−C の3本です。
チャネルの数が多いほど、情報が伝わる経路が増え、伝達の漏れや食い違いが起きやすくなります。プロジェクト・マネジャー(PM)は、チャネル数の増加を、コミュニケーションの計画を見直すきっかけにします。
ECO 2026年版の People タスク8は「コミュニケーションの計画と管理」です。コミュニケーション戦略の定義や、透明性と協働の促進が含まれます。チャネル数の計算は、この計画の複雑さを見積もる道具の1つです。
POINT
旧版(2021年版)では、コミュニケーションは Process タスク2「コミュニケーションの管理」でした。2026年版では People(人)の領域に移っています。
計算式 n(n − 1) ÷ 2 の意味は?
n 人の中から2人を選ぶ組み合わせの数です。1人あたり、自分以外の (n − 1) 人とつながります。全員分を数えると n × (n − 1) 本ですが、A−B と B−A を2回数えているので2で割ります。
チャネル数 = n × (n − 1) ÷ 2(n = 関係者の人数)
- 1n = 10 の場合
- 210 × (10 − 1) = 10 × 9 = 90
- 390 ÷ 2 = 45
10人のチャネル数は45本
当サイトの架空の例
式を忘れても、小さい人数なら数えて確かめられます。4人なら A−B、A−C、A−D、B−C、B−D、C−D の6本で、4 × 3 ÷ 2 = 6 と一致します。
人数が増えるとチャネル数はどう増える?
人数が増えると、チャネル数は急に増えます。人数が2倍になると、チャネル数はおよそ4倍です。
- 3人3本
- 5人10本
- 8人28本
- 10人45本
- 13人78本
- 15人105本
- 20人190本
10人 → 20人(2倍)で、45本 → 190本(約4.2倍)
n(n − 1) ÷ 2 で計算
増えたチャネル数はどう計算する?
試験でよく問われるのは「何本増えたか」です。増える前と後をそれぞれ計算して、引き算します。
| 人数 | チャネル数 | |
|---|---|---|
| 増える前 | 10人 | 10 × 9 ÷ 2 = 45本 |
| 3人追加後 | 13人 | 13 × 12 ÷ 2 = 78本 |
| 増加分 | +3人 | 78 − 45 = +33本 |
POINT
増えた3人だけで 3 × 2 ÷ 2 = 3本と計算するのは誤りです。新しい3人は、もとの10人ともつながります。
よくあるひっかけ:プロジェクト・マネジャーを含めるか?
最も多い誤りは、人数 n の数え方です。問題文を次のように読みます。
- 「チームメンバー8人とプロジェクト・マネジャー」→ n = 9(8 + 1)→ 9 × 8 ÷ 2 = 36本
- 「プロジェクト・マネジャーを含めて8人」→ n = 8 → 8 × 7 ÷ 2 = 28本
- 「ステークホルダー登録簿に15人(PM を含む)」→ n = 15 → 105本
PM もコミュニケーションの当事者なので、1人として数えます。問題文に「含む」「含まない」が書かれていないこともあります。PM が文中に別に登場していれば、足すと考えるのが安全です。
チャネル数から人数を逆算するには?
「チャネル数が45本のとき、関係者は何人か」と逆に聞かれることもあります。式を変形すると、n × (n − 1) = チャネル数 × 2 です。そこで、チャネル数を2倍した数が「連続する2つの整数の積」になる n を探します。
n × (n − 1) = チャネル数 × 2
- 145 × 2 = 90
- 2連続する2つの整数で積が90になるもの:10 × 9 = 90
- 3n = 10(大きい方の数が人数)
- 4検算:10 × 9 ÷ 2 = 45
関係者は10人
当サイトの架空の例
| 人数 | チャネル数 | 人数 | チャネル数 |
|---|---|---|---|
| 5人 | 10本 | 11人 | 55本 |
| 6人 | 15本 | 12人 | 66本 |
| 7人 | 21本 | 13人 | 78本 |
| 8人 | 28本 | 14人 | 91本 |
| 9人 | 36本 | 15人 | 105本 |
| 10人 | 45本 | 20人 | 190本 |
1人増えるごとに、チャネルは「もとの人数」と同じ本数だけ増えます。10人から11人になると、増えるのは10本です。この性質を知っておくと、検算が速くなります。
チャネルが増えすぎたらどうする?アジャイルのチームの人数
チャネル数は、全員が全員とやり取りする場合の経路の数です。PM の仕事は、経路を減らすことそのものより、「誰が誰に、何を、どの方法で伝えるか」を決めて漏れを防ぐことです。
アジャイルでも考え方は同じです。スクラムガイド(2020年版)は、スクラムチームの人数を通常10人以下としています。小さいチームの方がコミュニケーションがよく、生産性も高い傾向があるという考え方です。大きくなりすぎたら、同じプロダクトに取り組む複数のチームに分けることを検討するよう書かれています。
チャネル数 = n × (n − 1) ÷ 2
- 11チーム12人:12 × 11 ÷ 2 = 66本
- 26人のチーム:6 × 5 ÷ 2 = 15本、2チームで30本
- 3チーム間は代表者同士でやり取りする:+1本
- 4合計 = 30 + 1 = 31本
66本 → 31本(チーム間の連携の仕組みを決めておくことが前提)
当サイトの架空の例。全員が全員とやり取りする前提で数えた
予測型でも、窓口を決める、定例会議で情報をまとめて共有する、といった工夫で伝達の漏れを減らします。こうした決めごとは、コミュニケーションの計画に書いておくものです。計画の立て方は コミュニケーション計画 で解説しています。
例題で確認
(当サイトの独自例題)PM と6人のメンバーで始めたプロジェクトに、外部の専門家4人が加わりました。チャネル数はいくつ増えたかを求めます。
増加分 = 後のチャネル数 − 前のチャネル数
- 1前:n = 6 + 1 = 7 → 7 × 6 ÷ 2 = 21本
- 2後:n = 7 + 4 = 11 → 11 × 10 ÷ 2 = 55本
- 3増加分 = 55 − 21 = 34本
34本増えた
当サイトの架空の例
計算で終わらず、「34本増えたので、情報共有の方法を見直す必要がある」と判断につなげるのが、PMP の問題の典型です。
スケジュール短縮のために人を追加するクラッシングでは、このチャネル数の増加が副作用になります。詳しくは クラッシングとファストトラッキングの違い を参照してください。
確認問題1
メンバー追加後の増加分
(当サイトの独自問題)プロジェクト・マネジャーと6人のメンバーでプロジェクトを進めています。来月から、3人のメンバーが加わります。コミュニケーションの計画を見直すため、チャネル数の増加分を見積もることにしました。正しいものはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。前は n = 7 で 7 × 6 ÷ 2 = 21本、後は n = 10 で 10 × 9 ÷ 2 = 45本です。増加分は 45 − 21 = 24本です。
1:プロジェクト・マネジャーを除いた、前の6人だけのチャネル数(6 × 5 ÷ 2)です。3:追加後の合計で、増加分ではありません。4:追加の3人同士のチャネルだけを数えています。
確認問題2
チャネル数が急増した後の対応
(当サイトの独自問題)プロジェクトの途中で、チームが5人から12人に増えました。最近、仕様変更の連絡が一部のメンバーに届かず、手戻りが続いています。メンバーはそれぞれ思い思いの方法で連絡を取り合っています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。人数が5人から12人に増えると、チャネル数は10本から66本に増えます。連絡の方法・頻度・責任者を決め直し、チームと合意して共有します。
1:個人への注意だけでは、仕組みの問題は解決しません。3:PM が情報のボトルネックになり、チームの自律も損ないます。4:人数を戻すのは、増員の目的を無視した対応です。
確認問題3
登録簿の人数からチャネル数を出す
(当サイトの独自問題)ステークホルダー登録簿には、プロジェクト・マネジャーを含めて15人が載っています。コミュニケーション計画の見直しのため、この15人の間のチャネル数を示します。正しいものはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:3。15 × 14 ÷ 2 = 105本です。
1:2で割り忘れています(15 × 14)。2:プロジェクト・マネジャーを二重に数えて、16人で計算しています(16 × 15 ÷ 2)。4:プロジェクト・マネジャーを除いて、14人で計算した値です(14 × 13 ÷ 2)。
次に何をすればいい?
チャネル数の式は単純ですが、n の数え方で点を落としやすい問題です。問題文の人数の書き方に印を付けて読む習慣をつけてください。
PMP で出るほかの計算は、PMPの計算問題の公式一覧 で確認できます。コミュニケーションの論点を問題で練習したい人は、タスク別ドリル から People のタスクを選んで解けます。