PMP試験 2026年新形式 対応プロマネ模試
PMP STUDY GUIDEProcess(プロセス)の論点PMP

調達マネジメントとは?計画・実行・ベンダー評価の流れをPMPで解説

調達マネジメントとは何かを、PMP新ECO(2026年版)Processタスク5に沿って解説。make or buy、RFP・SOW、重み付け評価と購入・リースの計算例、PMと調達部門の役割、契約の管理と完了。確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • 調達マネジメントは、プロジェクトに必要な製品・サービスを外部から手に入れる管理です。流れは「計画→募集・選定→契約→管理→完了」です。
  • 最初に内製か外注か(make or buy)を判断します。外注するなら、作業範囲記述書(SOW)と評価基準を募集の前に決めます。
  • ベンダーは価格だけでなく、事前に決めた重み付きの基準で選びます。契約の変更は、権限のある人が契約の手続きで行います。
  • 新ECO(2026年版)では、タスク5のイネーブラーが10個と Process で最多です。旧版で People 領域にあった交渉も、ここに入りました。

調達マネジメントとは?新ECOのタスク5の中身は?

調達マネジメントは、プロジェクトに必要な製品・サービス・成果物を、組織の外から手に入れるための管理です。開発の外注、機器の購入やリース、専門家との期間を区切った契約などが対象です。

流れは「計画→募集・選定→契約→管理→完了」の5段階です。PMP では、この流れの中で、プロジェクト・マネジャー(PM)が公正さと契約の手続きを守れるかが問われます。

2026年版の ECO(試験内容の概要)では、Process タスク5が「調達を計画し管理する」です。イネーブラー(仕事の例)は10個あり、Process のタスクの中で最も多い数です。当サイトの要約で示します。

PMI の ECO(2026年版)Process タスク5のイネーブラーを当サイトで流れ別に要約。原文は出典の PDF を参照
流れイネーブラー(要約)
計画調達を計画する/調達戦略を計画し管理する/提供の解決策(どう手に入れるか)を作る
契約の形望ましい契約タイプを選ぶ
交渉交渉戦略を決める/契約の交渉に参加する
実行と管理調達マネジメント計画を実行する/供給者と契約を管理する/ベンダーの実績を評価する
完了調達の合意の目的が達成されたことを確かめる

旧版(2021年版)の調達のタスクは、イネーブラーが5個でした。交渉は People 領域のタスク8「プロジェクトの合意を交渉する」に分かれていました。2026年版では、契約タイプの選択、ベンダーの実績評価、交渉戦略などが調達のタスクにまとまっています。26タスクの全体は新ECOの26タスク一覧で確認できます。

契約タイプの選び方はPMPの契約タイプ一覧、交渉の進め方はPMPの交渉で詳しく扱います。この記事では、流れ全体と、選定・管理の判断に絞ります。

内製か外注か(make or buy)はどう決める?

調達の最初の判断は、自分たちで作るか、外から手に入れるかです。これを make or buy(内製・外注の分析)と呼びます。費用だけでなく、次の観点で比べます。

  • 費用:直接の費用に加え、管理の手間や保守の費用まで含めた総額
  • 能力と空き:社内に技術と人手があるか。他の仕事を止めずにできるか
  • 期間:外注したほうが早いか。発注の手続きにかかる時間も含める
  • リスク:外部に頼ると、品質・納期・情報漏えいのリスクがどう変わるか
  • 戦略:社内にノウハウを残すべき中核の技術か

機器などでは、買うか借りるか(購入かリースか)の比較もこの判断に含まれます。分析の結果と理由は記録し、調達マネジメント計画に反映します。

購入かリースかはどう計算する?損益分岐の例

費用の比較でよく使うのが、損益分岐の考え方です。何か月使うと、購入とリースの総額が同じになるかを求めます。

購入かリースか:損益分岐の計算(架空の例)

損益分岐の月数 = 購入の初期費用 ÷(月のリース料 − 購入したときの月の保守費)

  1. 1購入:初期費用120万円+保守費 月1万円
  2. 2リース:月5万円(保守込み)
  3. 3損益分岐=120÷(5−1)=30か月
  4. 424か月使う場合:購入 120+1×24=144万円、リース 5×24=120万円
  5. 536か月使う場合:購入 120+1×36=156万円、リース 5×36=180万円

30か月より短く使うならリース、長く使うなら購入が安い

架空の数値。税・処分したときの価値・お金の時間価値は考えない

よくある誤りは、購入の保守費を引き忘れることです。この例で120÷5と計算すると24か月になり、判断を誤ります。

計算で安い方が分かっても、それだけでは決めません。使う期間の見通し、技術が古くなる速さ、資金の都合も合わせて判断します。

調達文書(RFI・RFP・RFQ・SOW)の違いは?

外注すると決めたら、募集のための文書を用意します。名前が似ているので整理しておきます。

当サイトの整理
文書目的使う場面
RFI(情報提供依頼書)どんな会社・技術があるか情報を集める選択肢がよく分からない初期段階
RFP(提案依頼書)解決策の提案を求めるやり方を含めて提案してほしいとき
RFQ(見積依頼書)価格の見積もりを求める買う物の仕様が決まっていて、価格で比べたいとき
SOW(作業範囲記述書)外注する作業の範囲・成果物・条件を書くRFP・RFQに添付し、契約の一部になる
評価基準提案をどう評価するかを事前に決める公平な選定のため、募集前に決める

SOW の質が調達の質を決めます。範囲があいまいだと、見積もりがばらつきます。契約後に「それは範囲外」という争いも起きがちです。成果物・受入基準・除外事項は、はっきり書いておくことが大切です。

募集のあと、候補者を集めて質問に答える入札説明会(ベンダー会議)を開くことがあります。すべての候補者に、同じ情報を同時に伝えるのが目的です。特定の候補者だけに個別に情報を渡すのは避けます。

ベンダーはどう選ぶ?重み付け評価の例

まず、必須の条件(資格・実績・セキュリティの要件など)を満たさない提案を外します。残った提案を、事前に決めた評価基準で比べます。

価格だけで選ぶと、安くても品質や納期に問題のある会社を選ぶおそれがあります。よく使われるのが重み付け評価です。

重み付け評価の計算(架空の例)

総合点 = Σ(基準の重み × 点数)

  1. 1基準と重み:技術力40%、価格30%、実績20%、財務の安定10%(合計100%)
  2. 2A社の点数(10点満点):技術8、価格6、実績9、財務7
  3. 3A社=0.4×8+0.3×6+0.2×9+0.1×7=3.2+1.8+1.8+0.7=7.5
  4. 4B社の点数:技術6、価格9、実績6、財務8
  5. 5B社=0.4×6+0.3×9+0.2×6+0.1×8=2.4+2.7+1.2+0.8=7.1

A社 7.5点 > B社 7.1点 → 価格はB社が有利だが、総合ではA社を選ぶ

架空の数値

よくある誤りは、重みを掛けずに点数を単純に足すことです。この例では A社30点・B社29点で、順位は同じです。ただし、重みの大きい技術力の差が正しく反映されません。計算問題では、重みの合計が100%(1.0)になっているかも確かめます。

重みは募集の前に決めておきます。提案を見てから重みを変えると、特定の会社に有利になるよう操作したと疑われます。これは、PMI の倫理規定が重んじる公正さにも関わります。

選定の後は、交渉を経て契約を結びます。発注者として望む条件だけでなく、相手にとっても続けられる条件かを考えると、長く良い関係を保てます。

PMと調達部門はどう役割を分ける?

多くの組織では、契約を結ぶ権限は調達部門や法務にあります。PM は、要件をいちばんよく知る立場で、調達の各段階に関わります。典型的な分担を、当サイトの整理で示します。

当サイトの整理。権限の分け方は組織と契約によって異なる
段階PM調達部門・法務など
計画外注する範囲と要件を決める。SOW の案を作る調達の方針と社内の規程を示す
募集・選定評価基準の案を作り、技術面の評価に加わる募集の手続きを進め、公正さを確かめる
交渉・契約範囲・納期・受入基準の交渉に加わる契約の条件を詰め、契約を結ぶ
契約の管理成果と進み具合を確かめ、変更が要るなら影響をまとめる契約の変更・請求(クレーム)・支払いを正式に扱う
完了成果物の受け入れを確かめ、ベンダーの実績を評価する契約を正式に閉じ、記録を保管する

試験では、PM がベンダーに契約に無い作業を直接頼む選択肢がよく出ます。契約を変えるのは、権限のある人が契約の手続きで行うのが基本です。PM の役目は、影響を分析し、正しい経路に乗せることです。

契約の管理と完了では何をする?

契約を結んだら終わりではありません。むしろ、ここからが PM の腕の見せどころです。

調達の流れ(予測型の典型)
  1. 1

    内製・外注の分析

    外注の範囲を決める

  2. 2

    調達文書の作成

    SOW・評価基準

  3. 3

    募集と選定

    提案の評価

  4. 4

    交渉と契約

    契約タイプを決める

  5. 5

    契約の管理

    実績評価・変更・支払い

  6. 6

    契約の完了

    受け入れ・支払い完了・監査

当サイトの整理

  • 実績の評価:納期・品質・コミュニケーションを、合意した指標で定期的に確かめる。問題は早めに共有する。
  • 変更の管理:範囲や条件の変更は、契約の変更手続きで行う。口頭の約束や、担当者どうしの合意で済ませない。
  • 支払いの管理:成果物の受け入れや、合意した節目の達成に応じて支払う。
  • 請求(クレーム)の扱い:範囲や費用で意見が分かれたら、まず交渉で解決を目指す。解決しなければ、契約に定めた方法(調停・仲裁など)に進む。
  • 完了:成果物がすべて受け入れられ、支払いが済み、未解決の請求が無いことを確かめて、契約を正式に閉じる。調達の監査で教訓を残す。

アジャイルで外部の会社と組む場合は、範囲を固定しにくくなります。スプリント単位の契約や、優先順位の入れ替えを認める条項など、契約の形を工夫します。どちらの場合も、ベンダーを「下請け」ではなく、価値を届ける協働の相手として扱います。

調達の判断問題は無料模試30問にも入っています。

POINT

よくある誤答:「ベンダーの担当者と口頭で範囲を広げる」「遅れたベンダーへの支払いを独断で止める」「実績の評価を残さずに契約を閉じる」。どれも、契約の手続きか事実の確認を飛ばしています。

確認問題1

担当者どうしの口頭の合意

(当サイトの独自問題)固定価格で外注した開発で、ベンダーの担当者から連絡がありました。「御社の担当者と口頭で合意した追加画面の費用を請求したい」という内容です。追加画面は契約の SOW にありません。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。まず、誰がどんな権限で何を合意したかを確かめます。追加が必要で正当なら、契約の変更手続きで正式に扱います。あわせて、契約を変えられるのは権限のある人だけだと、関係者に周知します。

1:権限の無い合意で支払うことになりかねません。2:事実を確かめずに断ると、争いに発展するおそれがあります。4:経緯と権限を確かめる前に承認を求めており、順番が違います。

確認問題2

最も安い提案

(当サイトの独自問題)3社から提案が届きました。C社の価格は他社より30%安い一方、技術力と実績の点が低くなりました。事前に決めた評価基準で採点すると、総合点は3社中2位です。スポンサーは費用を抑えたいと話しています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。募集の前に合意した評価基準で選ぶのが公正です。総合点の結果と、C社を選んだ場合の品質や納期のリスクをスポンサーに説明し、判断の材料を示します。

2:合意した基準を無視し、価格だけで決めています。3:結果を見てから重みを変えるのは不公正です。4:選定が決まる前に、総合2位の会社と交渉を始めています。

確認問題3

ベンダーの納期が遅れている

(当サイトの独自問題)外注先から納品される部品が、2回続けて約束の日より1週間遅れました。このままでは次の工程に影響します。契約には、納期の遅れについて協議の手順が定められています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。まず契約の手順に沿って、外注先と原因を確かめ、改善策を合意します。合意した内容と実績は記録して、ベンダーの実績評価に反映させます。スケジュールへの影響の分析と、関係者への共有も必要です。

1:原因も確かめずに解除へ進むのは過剰です。代わりの会社の手配で、さらに遅れるおそれもあります。3:遅れの原因に手を打たず、社内の計画だけで吸収しようとしています。4:決められた窓口と手順を飛ばしています。

よくある質問

調達マネジメントでプロジェクト・マネジャーは契約に署名しますか?

組織によります。多くの組織では、契約に署名する権限は調達部門や法務などにあります。PM は、要件の明確化、評価、交渉への参加、契約後の実績管理などで中心的な役割を担います。

RFP と RFQ の違いは何ですか?

RFP は解決策の提案を求める文書で、やり方も含めて提案してほしいときに使います。RFQ は価格の見積もりを求める文書で、仕様が決まっていて価格で比べたいときに使います。

make or buy の分析では何を比べますか?

保守や管理の手間を含めた費用の総額に加え、社内の能力と空き、期間、リスク、技術を社内に残すべきかを比べます。機器なら、購入とリースの損益分岐も計算します。

契約を途中で変えたいときはどうしますか?

契約に定めた変更の手続きで行います。影響(費用・期間・品質)を分析し、権限のある人どうしで合意し、書面に残します。担当者どうしの口頭の約束では変えません。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline – 2026(PDF)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline – January 2021(旧版・PDF)
  3. [3]PMI: Code of Ethics and Professional Conduct
  4. [4]PMI: The Standard for Project Management and PMBOK Guide

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