復習しないと正答率が伸びないのはなぜ?
PMP の問題の多くは、「この状況で、プロジェクト・マネジャーが次に何をすべきか」を問います。選択肢はどれも、実際に取りうる行動です。その中から、状況に最も合うもの、最初にすべきものを選びます。
このタイプの問題は、知識を増やすだけでは点が上がりません。点を落とす原因の多くが、判断のずれだからです。たとえば「チームに任せる場面で自分が決めてしまう」「手続きを通す前に変更を実行してしまう」といった、その人なりの判断の癖です。癖は、間違えた問題を丁寧に振り返らないと見えてきません。
問題を次々に解いて正答率だけを見る勉強は、解いた量のわりに伸びません。解く時間と同じくらいの時間を復習に使うことを目安にしてください。
選択肢ごとに「なぜ違うか」を書くとは?
復習の基本は、正解だけでなく、4つの選択肢すべてについて理由を書くことです。1行ずつで構いません。
- 問題の状況を1行で要約する(誰が、何に困っているか。予測型かアジャイルか)
- 自分が選んだ選択肢と、選んだ理由を書く
- 正解の選択肢と、それが正しい理由を書く
- 残りの選択肢それぞれについて、この状況で最適でない理由を書く
- 自分の理由と正解の理由の違いを、1行でまとめる(これが判断の癖)
大切なのは5番目です。「状況を確かめる前に解決策を選んだ」「チームの自主性より自分の指示を優先した」のように、ずれを一般的な言葉にしておきます。そうすると、別の問題でも同じ癖に気づけます。
誤りの選択肢の理由は、3つの型のどれかに当てはまることがよくあります。「それ自体は悪くないが、今ではない(順番が違う)」「それは別の人の役割」「手続きを飛ばしている」です。この型を意識すると、理由を言葉にしやすくなります。
正解した問題でも、2つの選択肢で迷ったものは同じように書きます。迷いは、本番で落とす候補だからです。
タスク別に間違いを集計するには?
1問ずつの復習に加えて、間違いを新 ECO(2026年版)の26タスク別に数えます。どのタスクの問題かを、問題ごとに記録します(People 8、Process 10、Business Environment 8)。問題集や模試にタスクが書かれていなければ、内容から自分で当てはめます。
数えてみると、誤答は全タスクに均等には散らばらず、いくつかのタスクに集まっていることがよくあります。下の図は、ある受験者の模試2回分の誤答を集計した架空の例です。
- B3 変更をマネジメント・コントロールする9問
- P5 ステークホルダーの期待をそろえる7問
- B2 コンプライアンスを計画・マネジメントする6問
- R3 価値に基づくデリバリー5問
- P2 対立をマネジメントする4問
- その他21タスクの合計19問
誤答50問のうち22問(44%)が上位3タスクに集中。ここを解き直すのが一番効く。
架空の例。9+7+6+5+4+19=50、9+7+6=22、22÷50=44%
この例なら、次の1〜2週間は B3・P5・B2 の問題をまとめて解き直します。同じタスクの問題を続けて解くと、そのタスクで求められる判断の型が見えてきます。当サイトのタスク別ドリルは26タスクに分かれているので、弱いタスクだけを解き直せます。
解き直しはどのくらいの間隔で行う?
人は、覚えたことを時間とともに忘れます(エビングハウスの忘却曲線として知られる考え方です)。一度の復習で終わりにせず、間隔をあけて何度か解き直すと、判断の型が定着しやすくなります。当サイトのすすめは次の3回です。
当日
解いて、選択肢ごとの理由を書く
復習ノートを作る
翌日
1回目の解き直し
答えを見ずに、理由を言いながら解く
1週間後
2回目の解き直し
まだ間違える問題に印
本番の数日前
3回目(印の問題だけ)
判断の癖の一覧を見直す
当サイトのすすめ。間隔は生活に合わせて前後してよい
解き直しのときは、正解の番号を覚えてしまっていても構いません。確かめるのは、理由を言えるかです。理由を言えなければ、正解していても印を付けて次の回に回します。
180問の模試の復習はどう進める?
180問の模試は、量が多くて1日では復習が終わりません。順番を決めて、数日に分けて進めます。当サイトのすすめは次の順です。
- 1日目:誤答の問題だけ、原因の欄(知識不足・判断のずれ・読み違い・時間切れ)を埋める。理由はまだ書かなくてよい。
- 2〜3日目:誤答の問題について、選択肢ごとの理由を書く。1日40〜50問が目安。
- 4日目:正解したが迷った問題について、同じように理由を書く。
- 5日目:タスク別に集計し、次の1〜2週間で解き直すタスクを3〜5個決める。
最初に原因だけを埋めるのは、解いた直後の記憶が新しいうちに「なぜ間違えたか」を残すためです。時間がたつと、何を考えて選んだかを思い出せなくなります。
後半の問題で誤答が多い場合は、時間切れや集中切れを疑ってください。区切りごとの正答率を比べると、知識の問題か時間の問題かを見分けられます。
解説を読んでも納得できないときは?
解説を読んでも、自分の答えのほうが正しく思えることがあります。そのまま次へ進むと、同じ種類の問題でまた迷います。次の順で確かめます。
- 問題文の条件を読み直す(予測型かアジャイルか、誰の立場か、「まず」「次に」「最も」のどれを問うか)
- 正解と自分の答えの違いを1行で書く(順番の違いか、役割の違いか、手続きの有無か)
- 同じタスクの問題を3問続けて解き、共通する判断を探す
- ECO のそのタスクの説明(イネーブラー=仕事の例)を読み、求められる行動を確かめる
- 訳で迷ったら、英語の原文で読み直す
- それでも納得できない問題は、印を付けて保留し、先へ進む
最後の保留は、逃げではありません。教材の問題や解説が誤っている可能性もあります。1問にこだわって時間を失うより、同じタスクの別の問題で判断の型を確かめるほうが確実です。
復習ノートに出てきやすい「判断の癖」は?
復習ノートの「判断の癖」の欄を見返すと、多くの人に共通する癖がいくつかあります。自分のノートに同じものがないか、照らし合わせてみてください。
| よくある癖 | 試験で求められやすい考え方 | 関係が深いタスクの例 |
|---|---|---|
| すぐ上位者に報告・相談する | まず自分とチームで状況を確かめ、権限を超えるときに決められた経路で上げる | P2 対立、B4 障害と課題 |
| 小さな変更を手続きなしで受ける | 影響を分析し、決められた変更の手続きを通す | B3 変更 |
| プロジェクト・マネジャーが全部決める | チームや、決める役割の人(プロダクトオーナーなど)に任せる | P3 チームを率いる |
| 問題が起きたらすぐ解決策を実行する | 先に原因を分析し、関係者と解決策に合意する | P2 対立、B5 リスク |
| 関係者を説得しようとする | 話し合って期待を確かめ、そろえる | P5 期待をそろえる |
癖が分かったら、問題を解く前に「自分はこの癖が出やすい」と意識するだけでも、選び方が変わります。ただし、表の右の考え方がいつも正解になるわけではありません。権限を超える判断や、安全・法令にかかわる問題では、すぐに上げるのが正しい場面もあります。最後は状況文の条件で決まります。
試験で求められる考え方を一覧で確かめたい人は、PMPのマインドセット一覧と見比べてください。
復習ノートはどう書く?
復習ノートは、紙でも表計算ソフトでも構いません。表の形にしておくと、後でタスク別に並べ替えたり数えたりできます。当サイトの独自の例題で、1行の書き方を示します。
| 項目 | 書く内容(例) |
|---|---|
| 日付・出典 | 10月5日、模試2 第48問 |
| タスク | B3 変更をマネジメント・コントロールする |
| 状況(1行) | 予測型。顧客が受け入れ直前に画面の追加を依頼。チームは対応できると言っている |
| 自分の答えと理由 | チームに対応を指示した。小さな変更で、顧客満足を優先すべきと考えた |
| 正解と理由 | 変更要求として記録し、影響を分析して変更管理の手続きに回す。小さくても承認なしの追加はスコープの逸脱になる |
| 他の選択肢 | 顧客の依頼を断る:分析する前に結論を出している。スポンサーに報告する:まず影響を分析してから |
| 原因 | 判断のずれ(手続きを飛ばした) |
| 判断の癖 | 「小さい・すぐできる」と手続きを省きたくなる |
| 解き直し | 翌日○、1週間後○ |
「原因」の欄は、知識不足・判断のずれ・読み違い・時間切れの4つから選びます。この欄を集計すると、必要な勉強が分かります。判断のずれが多ければ解き直し、知識不足なら参考書の該当部分を読みます。読み違いなら問題文の条件に印を付ける練習、時間切れなら模試での時間配分の練習です。
点が伸びずに不安なときの考え方はPMPに受かる気がしない時の原因と対策で説明しています。合格した人の復習の工夫の傾向はPMP合格体験記の共通点にまとめています。復習ノートの最初の題材には、登録不要の無料模試30問も使えます。