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スプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)の進め方|KPTと改善の回し方

スプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)の目的、レビューとの違い、5つの段階と60分の時間配分の例、KPTなどの手法、よくある失敗と対策、改善を次のスプリントに入れる方法を、確認問題3問つきで解説します。

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約10分
執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • レトロスペクティブは、スクラムチームが自分たちの進め方を見直し、品質と効果を高める改善を決めるイベントです。スプリントの最後に行います。
  • 進め方は「場を整える→事実を集める→気づきを得る→やることを決める→締める」の5段階が定番です。手法は、日本ではKPT(Keep・Problem・Try)が広く使われます。
  • 大事なのは、責める場にしないこと(心理的安全性)と、決めた改善を次のスプリントで確実に実行することです。
  • PMP試験では、継続的改善と教訓の活用(新ECO Business 6)の場面で問われます。プロジェクトの最後だけでなく、こまめに行うのがアジャイルの特徴です。

レトロスペクティブ(ふりかえり)の目的は?

スプリントレトロスペクティブの目的は、品質と効果を高める方法を計画することです。スクラムガイド(2020年版)では、スクラムチームが前のスプリントを検査するとされています。対象は、人・やり取り・プロセス・道具・完了の定義(DoD)です。

レトロスペクティブはスプリントの最後のイベントで、これでスプリントが終わります。時間の上限は、1か月のスプリントで3時間です。参加するのは、スクラムチーム(プロダクトオーナー・スクラムマスター・開発者)です。

スプリントレビューとはどう違う?

どちらもスプリントの終わりに行うので、混同しやすいイベントです。違いを並べます。

スクラムガイド(2020年版)の記載をもとに当サイトが整理。
観点スプリントレビューレトロスペクティブ
検査するものプロダクト(できあがったインクリメント)進め方(人・やり取り・プロセス・道具・完了の定義)
参加者スクラムチームと主要な関係者スクラムチーム
結果プロダクトバックログの見直し改善の行動(次のスプリントバックログに入れることもある)
順番スプリントの最後から2番目スプリントの最後
上限(1か月のスプリント)4時間3時間

レビューについては、スプリントレビューとは?で解説しています。

どう進める?(5つの段階と時間配分)

ふりかえりの進め方として知られているのが、次の5つの段階です。出典は、エスター・ダービーとダイアナ・ラーセンの著書『Agile Retrospectives』(2006年)です(当サイトが要約)。

ふりかえりの5つの段階
  1. 1

    場を整える

    目的と時間を確認し、全員が話せる雰囲気を作る

  2. 2

    事実を集める

    スプリントで起きた出来事やデータを並べる

  3. 3

    気づきを得る

    なぜそうなったかを話し合い、原因を探る

  4. 4

    やることを決める

    次のスプリントで試す改善を1〜2個に絞る

  5. 5

    締める

    決めたことを確認し、ふりかえり自体も短く見直す

いきなり「改善案」から入らず、事実と原因を先に共有するのがコツです。

2週間のスプリントで60分とる場合の、当サイトの例(5+15+15+20+5=60分)。2週間の上限の目安は、1か月の3時間を比例させた1.5時間です。
段階時間やること
場を整える5分目的と時間を確認する。前回の改善がどうなったかも確かめる
事実を集める15分付箋やボードで、スプリントの出来事とデータを並べる
気づきを得る15分なぜそうなったかを話し合い、原因を探る
やることを決める20分改善を1〜2個に絞り、担当と確かめ方を決める
締める5分決めたことを読み上げ、ふりかえり自体も短く見直す

リモートで行う場合は、オンラインのホワイトボードを使います。最初に各自が付箋を書く時間をとると、発言の偏りが減ります。

KPTなど代表的な手法は?

「事実を集める」「やることを決める」の段階で使う手法には、次のようなものがあります。ときどき手法を変えると、話が新鮮になります。

当サイトの整理。どの手法も、最後に「次に何をするか」を決めることは共通です。
手法やり方向いている場面
KPTKeep(続けること)・Problem(問題)・Try(次に試すこと)の3つに付箋を書いて貼る初めてのふりかえり。日本で広く使われ、説明が短くて済む
Start・Stop・Continue始めること・やめること・続けることを出す行動を変える案をはっきり出したいとき
タイムラインスプリントの出来事を時系列に並べ、気分の上下も書く長いスプリントや、大きな出来事があったとき
帆船(ヨット)追い風(助け)・いかり(足かせ)・岩(危険)・島(目標)を絵で表すゴールに対する障害とリスクを話したいとき
4つのL良かった・学んだ・足りなかった・欲しかったの4つで出す学びを残したいとき

KPTの注意点は、Problem の欄が「人の悪口」になりやすいことです。「〇〇さんのレビューが遅い」ではなく、「レビュー待ちで作業が2日止まった」のように、出来事として書きます。

心理的安全性とファシリテーションはなぜ大事?

ふりかえりで本当の問題が出るかどうかは、「言っても責められない」とメンバーが感じているかで決まります。この状態を心理的安全性と呼びます。問題を言うと責められるチームでは、表面的な意見しか出ず、改善が進みません。

進行役(多くはスクラムマスター)が気をつけることは、次のとおりです。

  • 人ではなく仕組みを見る: 「誰のせいか」ではなく、「何が起きやすくしていたか」を問います。
  • 全員が話せるようにする: 声の大きい人だけが話さないよう、付箋に書いてから出す、順番に話すなどの工夫をします。
  • 上下関係を持ち込まない: 上司が同席すると本音が出にくい場合、チームで参加者を話し合います。
  • 秘密を守る: ふりかえりで出た話を、チームの外で評価に使わないと約束します。
  • 改善を絞る: 一度にたくさん決めず、効果の大きいものを1〜2個に絞ります。

よくある失敗と対策は?

当サイトによる整理。
よくある失敗対策
決めた改善が実行されない改善を1〜2個に絞り、担当と確かめ方を決めて、スプリントバックログに入れる
毎回同じ話になる手法を変える。進行役を交代する
印象だけで話が進む待ち時間や不具合の数など、事実のデータを持ち込む
時間切れで何も決まらない時間配分を決め、「やることを決める」時間を先に確保する
責め合いになる人ではなく出来事と仕組みを見るよう、進行役が問いを変える

特に多いのが、最初の「決めたのに実行されない」です。次の節で、実行されるようにする工夫を見ていきます。

改善をどう次のスプリントに入れる?

スクラムガイドでは、最も効果の大きい改善には、できるだけ早く取り組むとされています。次のスプリントのスプリントバックログに加えることもできます。

実行されるようにするための工夫は、次のとおりです。

  1. 改善を「〇〇する」という具体的な行動の形で書く(例:「レビュー依頼は当日中に返す」)
  2. 担当者と、確かめる方法を決める(例:「レビュー待ちの日数をボードに書く」)
  3. 次のスプリントバックログに、改善のアイテムとして入れる
  4. 次のふりかえりの最初に、前回の改善がどうなったかを確かめる

改善のアイテムをどう並べるか、プロダクトバックログとの関係はプロダクトバックログとは?で扱います。

教訓(レッスンズラーンド)とはどう関係する?

予測型のプロジェクトでは、教訓(レッスンズラーンド)をフェーズやプロジェクトの終わりにまとめることが多いです。アジャイルのふりかえりは、それをスプリントごとにこまめに行い、すぐ次に生かす仕組みと言えます。

新ECO(2026年版)の Business Environment のタスク6は「継続的改善」です。教訓の活用、継続的改善のプロセスの更新、組織のプロセス資産(OPA)の更新が含まれます。Process のタスク10(終結)にも、最後の教訓やふりかえりをまとめる活動が例として挙がっています。

残し方は、役に立つ範囲で分けるとよいでしょう。チームの中だけで役立つ改善はスプリントバックログへ。他のチームにも役立つ学びは、組織の教訓の記録やテンプレートへ残します。組織のプロセス資産についてはOPAとEEFの違いで詳しく扱います。

確認問題1

ふりかえりが責め合いになる

(当サイトの独自問題)前のスプリントで、リリースに障害が出ました。ふりかえりでは、開発者どうしが「テストを担当した人の確認不足だ」と言い合い、名指しされた開発者は黙り込んでしまいました。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。ふりかえりは責める場ではなく、仕組みの問題を見つける場です。進行役として出来事の流れを事実として並べ、何が起きやすくしていたかを探るよう促します。

1:個人の責任追及は心理的安全性を壊し、次から問題が出なくなります。3:一緒に学ぶ機会を失い、責め合いの空気も残ります。4:原因の分析もしないまま人を替えるのは、仕組みの問題を見逃す対応です。

確認問題2

決めた改善が実行されない

(当サイトの独自問題)スクラムチームは毎回のふりかえりで、改善を5〜6個決めています。しかし次のスプリントではほとんど実行されず、同じ問題が繰り返し出ています。開発者からは「ふりかえりは意味がない」という声も出始めました。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。改善は効果の大きいものに絞り、スプリントバックログに入れて作業として扱います。結果は次のふりかえりで確かめます。

1:改善の周期が遅くなり、問題が長引きます。2:チームの自己管理を弱め、監視されている雰囲気を生むだけです。4:チームの改善を承認待ちにすると、かえって実行が遅れます。

確認問題3

他チームにも役立つ学び

(当サイトの独自問題)あるスクラムチームが、ふりかえりで気づきを得ました。「外部APIのテスト用データを早めに業者へ依頼すると、待ち時間が大きく減る」というものです。実行して効果も確かめました。同じ業者を使うチームが、社内にほかに3つあります。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。他のチームにも役立つ学びは、組織のプロセス資産(教訓の記録)として共有します。継続的改善と知識の移転の両方につながります。

2:組織全体で改善する機会を逃します。3:やり方を採用するかどうかは、各チームが判断することです。4:終結まで待つと、他のチームが今すぐ得られる効果を失います。

継続的改善の場面の問題は、無料模試30問にも含まれています。

よくある質問

ふりかえり(レトロスペクティブ)の時間はどれくらいですか?

スクラムでは、1か月のスプリントで最大3時間です。スプリントが短い場合は、通常それより短くなります。2週間のスプリントなら、上限を長さに比例させて1時間半を目安にするチームもあります。

KPTのほかにどんな手法がありますか?

Start・Stop・Continue、タイムライン、帆船、4つのLなどがあります。どの手法でも、最後に次に試す改善を決めることが大切です。

プロダクトオーナーはふりかえりに参加しますか?

スクラムガイドでは、レトロスペクティブはスクラムチームのイベントで、プロダクトオーナーもスクラムチームの一員です。

出典・参考

  1. [1]Scrum Guides: The 2020 Scrum Guide
  2. [2]Agile Alliance: What is a Retrospective?
  3. [3]PMI: PMP Examination Content Outline – July 2026(PDF)

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記事の次は、本番形式の問題で。

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