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スクラムとは?3つの役割・5つのイベント・3つの作成物を図で整理

スクラムとは何かを、3本柱と5つの価値基準、3つの役割(責任)、5つのイベントとタイムボックス、3つの作成物と確約で図解します。向くプロジェクトとよくある誤解、PMP試験での問われ方も確認問題3問つきで。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • スクラムは、短い期間(スプリント)で作って確かめて直すことを繰り返す、軽量なフレームワーク(枠組み)です。観察した事実に基づいて判断する経験主義が土台です。
  • 役割(責任)はプロダクトオーナー・スクラムマスター・開発者の3つ。イベントはスプリントとその中の4つの会議で計5つ。作成物はプロダクトバックログ・スプリントバックログ・インクリメントの3つです。
  • 3つの作成物には、それぞれプロダクトゴール・スプリントゴール・完了の定義(DoD)という確約が対応します。
  • PMP試験はスクラムの資格試験ではありませんが、問題文の多くがスクラムの用語で書かれます。「誰が決めるか」と、誤答に使われやすい誤解を押さえるのが近道です。

スクラムとは?

スクラムは、チームが短い期間(スプリント)を区切って、価値のある成果物を少しずつ作る枠組みです。作るたびに結果を確かめ、次の行動を決めます。

定義の原典は、考案者のケン・シュエイバーとジェフ・サザーランドが公開している「スクラムガイド」です。現在の版は2020年版です。2人は1995年の OOPSLA という学会で、初めてスクラムを共同で発表しました。

名前はラグビーのスクラムに由来します。1986年、竹内弘高・野中郁次郎の両氏が Harvard Business Review に論文を発表しました。チームが一体で進める製品開発を、ラグビーにたとえた論文です。これがスクラムの源流の一つとされています。

スクラムガイドは、スクラムを「軽量なフレームワーク」と位置づけています。細かい作業手順は決めず、役割・イベント・作成物と、それらをつなぐルールだけを定めています。ユーザーストーリーやストーリーポイントなどの技法は、スクラムの一部ではありません。チームが必要に応じて取り入れるものです。

アジャイルとの関係も押さえておきます。アジャイルは価値観と原則の総称で、スクラムはそれを実践する代表的なフレームワークの1つです。この記事の説明は、スクラムガイド(2020年版)に沿って当サイトが要約したものです。

スクラムの3本柱と5つの価値基準は?

スクラムの土台は経験主義です。知識は経験から生まれ、判断は観察した事実に基づいて行う、という考え方です。無駄を減らして本質に集中するリーン思考も土台にしています。経験主義を支えるのが、次の3本柱です。

経験主義を支える3本柱
  1. 1

    透明性

    作業の状況や作成物が、関係者に見える状態にある

  2. 2

    検査

    作成物とゴールへの進み具合を、頻繁に確かめる

  3. 3

    適応

    ずれが見つかったら、できるだけ早く調整する

適応のあと、透明性に戻って繰り返す

見えなければ確かめられず、確かめなければ直せません。3つはつながっています。

スクラムチームが大切にする5つの価値基準は、確約(コミットメント)・集中・公開・尊敬・勇気です。PMP の問題では、「問題を隠さず早く共有する」(公開・勇気)や「チームの判断を尊重する」(尊敬)が正解の行動になりやすいです。価値基準と行動を結び付けて覚えると役立ちます。

スクラムの3つの役割(責任)は?

スクラムチームは、1人のプロダクトオーナー、1人のスクラムマスター、複数の開発者で構成されます。チームの中に上下関係はなく、全員でプロダクトゴールを目指します。人数は通常10人以下が目安です。大きくなりすぎたら、複数のチームに分けます。2020年版のスクラムガイドは、「役割」ではなく「責任(accountabilities)」という言葉を使っています。

責任主な仕事決める・持つもの
プロダクトオーナープロダクトの価値を最大化する。プロダクトゴールを示し、バックログを並べるプロダクトバックログの中身と並び順。1人であり、委員会ではない
スクラムマスタースクラムが理解され実践されるよう、チームと組織を支える。障害の除去を促すスクラムチームの有効性。チームと組織に仕える真のリーダー
開発者スプリントごとに使えるインクリメントを作る。計画を作り、日々調整するスプリントバックログ(作業の計画)と作り方

PMP の問題で特に大事なのは、次の分担です。優先順位はプロダクトオーナー、作り方と作業の分担は開発者、障害の除去とスクラムの浸透はスクラムマスターです。詳しくはスクラムマスターの役割で扱います。

スクラムの5つのイベントは?

イベントは、検査と適応を行うための決まった機会です。スプリントは他の4つのイベントを入れる「入れ物」です。1か月以内の固定の長さで、前のスプリントが終わるとすぐ次が始まります。

1つのスプリントの流れ
  1. 1

    スプリントプランニング

    なぜ・何を・どうやって。スプリントゴールを決める

  2. 2

    デイリースクラム(毎日)

    開発者が15分でゴールへの進み具合を確かめ、計画を直す

  3. 3

    スプリントレビュー

    成果を関係者と検査し、次に何をするか話し合う

  4. 4

    スプリントレトロスペクティブ

    進め方を見直し、改善を決める

この4つがスプリント(1か月以内)の中で行われ、終わるとすぐ次のスプリントが始まります。

上限はスクラムガイド(2020年版)による。2週間の列は、上限をスプリントの長さに比例させた当サイトの目安です(ガイドは「短いスプリントでは通常それより短くなる」とだけ書いています)。
イベント上限(1か月のスプリント)2週間のスプリントの目安主な参加者
スプリント1か月以内(固定の長さ)2週間スクラムチーム全員
スプリントプランニング8時間4時間以内スクラムチーム(必要に応じて他の人を招く)
デイリースクラム15分(スプリントの長さによらない)15分開発者
スプリントレビュー4時間2時間以内スクラムチームと主要な関係者
スプリントレトロスペクティブ3時間1.5時間以内スクラムチーム

プロダクトバックログの手入れ(リファインメント)は、イベントではなく継続的な活動です。スプリントを中止できるのはプロダクトオーナーだけで、スプリントゴールが意味を失ったときに限られます。

毎日行うデイリースクラムのように、各イベントの進め方は個別の記事で詳しく扱っています。

3つの作成物と確約とは?

作成物は、作業や価値を見える形にしたものです。2020年版では、それぞれの作成物に「確約(コミットメント)」が対応し、進み具合を測る基準になっています。

作成物中身確約主に責任を持つ人
プロダクトバックログプロダクトを良くするために必要なものを並べた一覧プロダクトゴール(長期の目標)プロダクトオーナー
スプリントバックログスプリントゴール・選んだアイテム・実現の計画スプリントゴール(そのスプリントの唯一の目的)開発者
インクリメントプロダクトゴールへの具体的な一歩。完成して使える状態のもの完了の定義(DoD:品質の基準)スクラムチーム

アイテムが完了の定義を満たした時点で、インクリメントが生まれます。スクラムガイドの日本語版では「完成の定義」と訳されています。PMP の日本語の教材では「完了の定義」と呼ぶことが多いです。完了の定義を満たさない作業は、スプリントレビューで見せることもできず、プロダクトバックログに戻します。

スクラムが向くプロジェクト・向かないプロジェクトは?

スクラムは、どんな仕事にも合うわけではありません。PMP でも、進め方を選ぶこと自体が Process 1 のタスクです。目安は次のとおりです。

当サイトの整理。
観点スクラムが向く工夫が要る・向かない
要求使ってみないと決まらない・変わりやすい最初から細かく決まり、ほぼ変わらない
作り直しの費用小さく作り直せる(ソフトウェアなど)作り直しが高くつく(建物・金型など)
成果の出し方一部だけでも先に使える全部そろわないと使えない
チーム専任で集まれ、必要な技能がそろう兼務が多く、毎日そろわない
関係者毎スプリントのレビューに参加できる最後の検収でしか関われない

全部がスクラムに向かなくても、一部だけをスクラムで進めることはできます。組み合わせ方はハイブリッド開発とは?で扱います。

スクラムでよくある誤解は?(PMP試験での見分け方)

PMP は特定の手法の試験ではありません。スクラムガイドの細かい文言より、スクラムの場面で適切な行動を選べるかが問われます。誤答の選択肢には、次のような誤解がよく使われます(当サイトの整理)。

よくある誤解スクラムでの考え方正解になりやすい行動
スクラムマスターはチームの管理者チームと組織に仕えるリーダー。作業の指示はしない障害の除去を支援し、チームの判断を尊重する
デイリースクラムは進捗の報告会開発者がゴールへの進み具合を確かめ、計画を直す15分目的を確認し、詳しい議論は会議の後に回す
スプリントレビューは発表会・承認会関係者と成果を検査し、次に何をするか決める作業の場出た要望は、プロダクトオーナーがバックログで扱う
要望が来たらスプリントに差し込むスプリントゴールを守る。何をいつ作るかはプロダクトオーナーが決める要望はバックログに入れ、次のスプリント以降で扱う
スプリントの長さは毎回変えてよい1か月以内の固定の長さ間に合わない分は延ばさず、バックログに戻す
ふりかえりは話して終わり効果の大きい改善は、次のスプリントバックログに入れることもできる改善を絞り、作業として扱って確かめる
ストーリーポイントはスクラムの決まりスクラムガイドに無い、チームが選ぶ技法見積もり方はチームが決める

アジャイル問題全体の判断の原則は、PMPのアジャイル対策にまとめています。

確認問題1

デイリースクラムが報告会になっている

(当サイトの独自問題)新しく立ち上げたスクラムチームで、デイリースクラムが毎回40分近くかかっています。開発者が一人ずつスクラムマスターに作業内容を報告し、スクラムマスターが質問を重ねる形です。開発者からは「時間が長すぎる」という声が出ています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。デイリースクラムは、開発者がスプリントゴールへの進み具合を確かめ、計画を直すための15分のイベントです。スクラムマスターへの報告会ではありません。目的を共有し、時間内に収める工夫を促します。

1:目的から外れた運営が続くだけです。3:毎日の検査の機会が失われます。4:報告の手間が増え、チームの自己管理も弱めます。

確認問題2

スプリントの途中の大きな変更

(当サイトの独自問題)2週間のスプリントの3日目に、主要な顧客が使う外部サービスの仕様が変わりました。今のスプリントで作っている連携機能は、ほぼ無意味になります。チームは作業を続けるべきか迷っています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。スプリントゴールが意味を失った場合、スプリントを中止できるのはプロダクトオーナーだけです。PMは事実を伝え、判断を促します。

1:価値のない作業を続けることになります。2:何を作るかの判断はプロダクトオーナーの責任で、PMが開発者に指示するものではありません。3:残りの1週間以上、無意味な作業が続いてしまいます。

確認問題3

作成物と確約の組み合わせ

(当サイトの独自問題)スクラムを導入したばかりの組織で、新任のプロジェクト・マネジャーが研修資料を作っています。スクラムの作成物と、それに対応する確約の組み合わせとして正しいものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。インクリメントの確約は完了の定義です。プロダクトバックログはプロダクトゴール、スプリントバックログはスプリントゴールに対応します。

1:プロダクトバックログの確約はプロダクトゴールです。2:スプリントバックログの確約はスプリントゴールです。4:スプリントゴールは、スプリントバックログに対応します。

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よくある質問

スクラムとアジャイルの違いは何ですか?

アジャイルは価値観と原則の総称で、スクラムはそれを実践するための具体的なフレームワークの1つです。アジャイルの手法には、ほかにかんばんやXPなどがあります。

スクラムは何人で行いますか?

スクラムチームは通常10人以下です。プロダクトオーナー1人、スクラムマスター1人、残りが開発者です。大きくなりすぎたら、同じプロダクトを複数のチームで分担します。

スクラムに「プロジェクト・マネジャー」はいますか?

スクラムガイドにプロジェクト・マネジャーという役割はありません。PMP の問題でPMがスクラムの場面にいる場合は、スクラムマスターに近い支援役として振る舞う選択肢が正解になりやすいです。

スプリントの長さはどう決めますか?

1か月以内で、チームが決めます。一度決めた長さは固定し、スプリントごとに変えないのが基本です。

出典・参考

  1. [1]Scrum Guides: The 2020 Scrum Guide
  2. [2]スクラムガイド 2020年版(日本語PDF)
  3. [3]Harvard Business Review: The New New Product Development Game(1986年1月)
  4. [4]PMI: PMP Examination Content Outline – July 2026(PDF)

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