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自己組織化チームとは?自己管理との違い・作り方・PMが任せる範囲

自己組織化チームとは、作業の分担や進め方を自分たちで決めるチームです。2020年版スクラムガイドの「自己管理」との違い、作り方の手順、つまずきやすい点、PMが任せる場面と動く場面の判断手順を、確認問題3問つきで解説します。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • 自己組織化チームとは、外から一つひとつ指示されなくても、作業の分担や進め方を自分たちで決めて成果を出すチームです。
  • スクラムガイドは2020年版で「自己組織化」を「自己管理」に改めました。チームが「誰が・どのように」に加えて「何の」作業をするかも選ぶ、という変更です。
  • チームが決めるのは枠の中のやり方です。何を先に作るか(プロダクトオーナー)や、規則・予算・品質の最低基準などの枠は、チームの外が決めます。
  • PMP試験では、作業の割り当てや見積もりにPMが口を出す選択肢は誤りになりやすいです。チームの外の障害や規則違反では、PMが動く選択肢が正解になりやすいです。

自己組織化チームとは?

自己組織化チームとは、上司やプロジェクト・マネジャー(PM)から作業を一つひとつ割り当てられるチームではありません。メンバーが自分たちで分担・進め方・段取りを決め、目標に向かって動くチームです。

アジャイルソフトウェア開発宣言の原則にも、最も良い設計や要求は自己組織的なチームから生まれる、という趣旨の一文があります。原則はアジャイルソフトウェア開発宣言の4つの価値と12の原則で解説しています。

大事なのは、自己組織化は「何でも自由」という意味ではないことです。チームは、目標と枠(ルール・予算・品質の基準)の中で、やり方を自分たちで決めます。

自己管理(self-managing)とはどう違う?

スクラムガイドは、2017年版まで「自己組織化(self-organizing)」という言葉を使っていました。2020年版では「自己管理(self-managing)」に変わっています。違いは次のとおりです。

スクラムガイドの改訂の記載(Revisions)をもとに当サイトが整理。
観点2017年版(自己組織化)2020年版(自己管理)
主語開発チームスクラムチーム(プロダクトオーナー・スクラムマスターを含む)
自分たちで選ぶこと誰が・どのように作業するか誰が・どのように・何の作業をするか

「何の」作業を選べるといっても、何を先に作るかの並び順は、チームの中でもプロダクトオーナーの責任です。日本では今も「自己組織化チーム」の方が広く使われているため、この記事ではその言葉で説明します。

チームが決めること・決めないことは?

自己組織化チームの範囲は、次の図で考えると分かりやすくなります。

チームが決めること・決めないこと(スクラムの場合)

チーム(開発者)が決める

  • 作業の分担(誰が何をやるか)
  • 作り方・技術的な進め方
  • 作業の見積もり
  • 1スプリントで選ぶ量
  • チーム内の取り決め(グランドルールなど)

チームの外や他の役割が決める

  • 何を先に作るか(プロダクトオーナー)
  • プロダクトゴール(プロダクトオーナー)
  • 組織の規則・法令・安全の基準
  • 予算や契約の枠(スポンサー・組織)
  • 組織の品質の最低基準(組織の標準)

チームは「枠の中のやり方」を決め、枠そのものは組織や他の役割が決めます。

枠の中であっても、チームが決めたことに理由のない口出しをすると、チームは自分で考えなくなります。逆に、枠を示さずに「自由にやって」と言うと、チームは何を守るべきか分からず迷います。リーダーの仕事は、枠をはっきり示し、その中ではチームを信頼することです。

クロスファンクショナルなチームとは?

クロスファンクショナル(機能横断型)なチームとは、価値のある成果物を作るのに必要な技能を、チームの中にそろえたチームです。企画・設計・開発・テスト・デザインの技能を持つ人が1つのチームにいて、他の部署に作業を渡さなくても完成させられる状態です。

スクラムガイドでも、スクラムチームは機能横断型とされています。スプリントごとに価値を生み出すのに必要な、すべての技能を持つチームです。

観点機能別に分かれたチームクロスファンクショナルなチーム
作業の流れ設計部→開発部→テスト部と引き渡す1つのチームの中で完成させる
待ち時間引き渡しのたびに待ちが出る少ない
自己組織化他部署に頼るので、自分たちで決められる範囲が狭い必要な技能がそろい、自分たちで決めやすい
技能の広がり専門が固定されやすい専門を持ちつつ、周辺の技能も学び合う

全員が何でもできる必要はありません。一人ひとりが専門を持ちつつ、周辺の技能も少しずつ身につける「T字型」の人材が理想とされます。特定の人にしかできない作業があると、その人が休んだときに流れが止まります。チームで学び合う工夫が欠かせません。

自己組織化チームはどう作る?

いきなり「今日から自己組織化で」と言っても、指示を待つことに慣れたチームはすぐには動けません。次の手順で、任せる範囲を少しずつ広げます(当サイトの整理)。

自己組織化チームを育てる5つの手順
  1. 1

    1. 目的と枠を示す

    プロダクトゴールと、守るべき規則・予算・品質の基準を説明する

  2. 2

    2. グランドルールを作る

    会議・連絡・意思決定の決まりをチームで決める

  3. 3

    3. 小さな判断から任せる

    作業の分担や段取りなど、失敗しても取り返せる範囲から

  4. 4

    4. 障害を外し、質問で支える

    答えを渡さず、考えるための問いを投げる

  5. 5

    5. ふりかえりで広げる

    うまくいった範囲を確かめ、任せる範囲を広げる

任せる範囲は一度に広げず、チームの成熟度に合わせて段階的に広げます。

  • 立ち上げの時期: 目標と枠を丁寧に説明し、グランドルールをチームで作る。小さな判断から任せる。
  • 慣れてきた時期: 作業の分担や見積もりを完全に任せ、PMは質問とコーチングに回る。
  • 成熟した時期: 進め方の改善もチームが主導し、PMは外との調整と障害の除去に集中する。

チームが自分で決めて失敗したときに責めないことも大切です。失敗をふりかえりで学びに変えられる、心理的に安全な環境が土台になります。

つまずきやすい点と支え方は?

自己組織化は、任せれば自然にうまくいくものではありません。よくあるつまずきと、リーダーの支え方を整理します。

当サイトによる整理。
つまずき起きやすい原因リーダーの支え方
目的からずれる目標や枠が共有されていないプロダクトゴールと枠を繰り返し示す
一部の人に頼りきりになる特定の技能が一人にしかないペア作業などで学び合う機会を作る
対立が長引く決め方が決まっていない決め方(合意・多数決・期限)をグランドルールに入れる
誰も決めない失敗を責められる不安、責任の押し付け合い失敗を学びとして扱い、小さく試すことを促す
チームの外から口出しが続く要望の窓口が決まっていない要望はプロダクトオーナーを通す流れを関係者に説明する

PMが口を出すべきでない場面・動くべき場面は?

PMP の問題で特に大事なのがここです。PMは、「任せる」と「動く」の線引きをします。迷ったら、次の順で確かめます(当サイトの整理)。

  1. 安全・法令・倫理に関わるか? 関わるなら、PMがすぐに動きます。必要なら作業を止めます。
  2. 組織の規則・予算・契約の枠に触れるか? 触れるなら、枠を改めて示し、是正します。
  3. チームの力では外せない障害か? そうなら、PMが関係部署と調整して取り除きます。
  4. チームの中のやり方か? そうなら、任せます。気づいたことは質問の形で伝えます。
当サイトによる整理。問題文の条件によって正解は変わります。
場面PMの行動理由
誰がどの作業をやるか口を出さない。チームに任せる作業の分担はチームが決める
作業の見積もり口を出さない。数字を変えさせない見積もりは作業をする人が行う
技術的な作り方の選択基本は任せる。判断の基準の整理は手伝う作り方はチームの専門の領域
チーム内の意見の対立まずチームの話し合いを促す。長引けば進行役を務める自分たちで解決する力を育てる
チームの外の障害動く。関係部署と調整して取り除くチームの力では外せない
規則・法令・倫理の違反動く。すぐに是正する枠そのものを守るのはリーダーの責任
安全に関わる問題動く。必要なら作業を止める任せる範囲を超えている

まとめると、チームの中のやり方には口を出さず、チームの外の障害と枠を守ることには責任を持って動くのが、PMの姿です。

新ECO(2026年版)の People のタスク3は「チームを率いる」です。チームに権限を与えること、問題を解決すること、適切なリーダーシップの型を決めることなどが含まれます。型の選び方はチームを率いるリーダーシップで扱います。

アジャイルのチームの支え方をさらに深く学びたい人には、PMI のアジャイルの資格もあります。PMP との違いはPMI-ACPとは?で比べています。

確認問題1

作業の分担を決めてほしいと言われた

(当サイトの独自問題)アジャイルに切り替えたばかりのチームです。開発者たちが「誰がどの作業をやるか、これまでどおりPMが決めてほしい」と言ってきました。チームには経験のあるメンバーもそろっています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。自己組織化の意味を説明し、最初はチームが自分たちで決められるよう進行役として支えます。慣れてきたら、徐々に手を離していきます。

1:チームが自分で考える機会を奪います。3:PMが選んだ人に決めさせるのは、形を変えた指示です。4:慣れていないチームを放置すると、混乱が起きやすくなります。

確認問題2

チームの見積もりが楽観的に見える

(当サイトの独自問題)経験豊富なPMが、チームの見積もりを見て「この機能は自分の経験なら倍はかかる」と感じました。チームはプランニングポーカーで合意して見積もっています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。見積もりは作業をする人が行います。PMの経験は大切な情報なので、「この部分の難しさはどう考えた?」など質問の形で伝え、判断はチームに任せます。

1:PMの数字に合わせて直させると、チームの見積もりではなくなり、自己組織化を損ないます。2:隠れた予備を持つのは、透明性に反する行為です。4:責任を押し付ける姿勢は、心理的安全性を損ないます。

確認問題3

チームが組織の規則を外れた

(当サイトの独自問題)あるチームが、会社が承認していないクラウドサービスに顧客のデータを置いて開発していました。作業を早めるためで、チームは「自分たちで決めてよいと言われた」と話しています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。組織の規則やデータの扱いは、チームが自由に決められる枠の外です。違反はすぐに是正し、枠を改めて明確に示します。

1:枠を守るのはリーダーの責任です。2:顧客のデータに関わる違反を放置することになります。3:違反への対応として、すべての判断を承認制にするのは行き過ぎです。自己組織化を壊してしまいます。

任せる範囲が問われる問題は、タスク別ドリルの People のタスクで練習できます。

よくある質問

自己組織化と自己管理は違いますか?

スクラムガイドは2020年版で「自己組織化」から「自己管理」に言葉を変えました。自己管理のスクラムチームは、誰が・どのように・何の作業をするかを自分たちで選びます。日本では両方の言葉が近い意味で使われています。

自己組織化チームにリーダーは要りませんか?

要ります。チームに枠と目標を示し、障害を取り除き、成長を支えるリーダーが必要です。指示や統制ではなく、支援の形で関わります。

PMが作業を割り当ててよい場面はありますか?

PMP のアジャイルの場面では、チームの中の作業の割り当てはチームに任せるのが基本です。予測型の場面では、PMが資源の配分を計画することがあります。問題文がどちらの場面かを見分けることが大切です。

出典・参考

  1. [1]Scrum Guides: The 2020 Scrum Guide
  2. [2]Scrum Guides: Revisions to the Scrum Guide
  3. [3]アジャイル宣言の背後にある原則(日本語)
  4. [4]PMI: PMP Examination Content Outline – July 2026(PDF)

本番と同じペースで腕試し

記事の次は、本番形式の問題で。

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