バーンダウンチャートとは?
バーンダウンチャートは、残っている作業の量が時間とともにどう減っていくかを示すグラフです。縦軸に残りの作業量、横軸に時間をとります。
縦軸の単位は、ストーリーポイント、タスクの残り時間、アイテムの数などからチームが選びます。横軸は、スプリントの日、またはスプリントの回数です。
よく使われるものが2種類あります。1つは、スプリントの中の日ごとの残りを示すスプリント・バーンダウンです。もう1つは、リリースまでのスプリントごとの残りを示すリリース・バーンダウンです。どちらも、誰でも見られる場所に貼る「情報発信型の掲示物」として使います。
なお、スクラムガイドは特定のチャートを必須にしていません。バーンダウンは、進み具合を見える化するためにチームが選ぶ道具の1つです。
どう作る?(理想線の引き方)
作り方の要は、最初に引く理想線です。理想線は、最初の量から最終日に0になるよう、毎日同じ量ずつ減らした直線です。計算の例と作る手順を、次に示します。
理想線の1日の減り幅 = 最初の量 ÷ スプリントの日数
- 110日間のスプリントで、40ポイントを選んだ
- 21日の減り幅:40 ÷ 10 = 4ポイント
- 35日目の理想の残り:40 − 4 × 5 = 20ポイント
- 45日目の実績の残りが32なら、32 − 20 = 12ポイントの遅れ
理想線との差を見れば、遅れの大きさを数字で話せます。
- 単位を決める: ストーリーポイントなど、縦軸に使う単位を1つ決めます。
- 最初の量を置く: スプリントの初日に、選んだアイテムの合計を縦軸の一番上に置きます。
- 理想線を引く: 最初の量から、最終日に0になる直線を引きます。
- 毎日、実績を書く: 完了の定義(DoD)を満たしたアイテムの分だけ、残りを減らします。途中までの作業は減らしません。
- 見える場所に貼る: デイリースクラムの前に更新し、全員で見ます。
理想線と実績線はどう読む?
上の計算と同じ、10日間のスプリントで40ポイントを選んだチームの例です。棒は、毎日の実績の残りを示します。
- 0日目40
- 1日目40
- 2日目37
- 3日目37
- 4日目37
- 5日目32
- 6日目27
- 7日目22
- 8日目14
- 9日目6
- 10日目0
理想線は1日に4ポイントずつ減ります。5日目の理想は20に対し実績は32で、前半に遅れ、後半で取り戻した形です。
当サイトが作成した数値例。
| 日 | 理想の残り | 実績の残り | 読み取り |
|---|---|---|---|
| 2日目 | 32 | 37 | 理想より5ポイント上。少し遅れている |
| 3〜4日目 | 28→24 | 37→37 | 横ばい。完了したアイテムが出ていない(障害や作業の詰まりの可能性) |
| 5日目 | 20 | 32 | 差が12ポイントに広がった。デイリースクラムで計画を見直すべき時点 |
| 8〜10日目 | 8→0 | 14→0 | 急に減った。作業をまとめて終わらせた可能性。品質に注意 |
読み方の基本は3つです。理想線より上は遅れ、下は先行。横ばいは完了が出ていない。傾きが急なところは完了が集中している。
横ばいが続くときは、作業が止まっているか、「完了」まで行かずに途中で積み上がっています。かんばんのWIP制限(始めるより終わらせる)の考え方が役立ちます。詳しくはかんばん方式とは?を参照してください。
バーンアップチャートとの違いは?
バーンアップチャートは、完了した作業の累計が増えていく線と、全体の作業量(スコープ)の線を、同じグラフに描きます。完了の線がスコープの線に届いたら終わりです。
バーンダウンチャート
- 縦軸に描くもの残りの作業量
- 線の向き右下がり
- スコープの変化スコープの増加と進みの遅れが同じ1本の線に混ざる
- 向いている使い方スプリントの中の日々の確認
バーンアップチャート
- 縦軸に描くもの完了の累計と全体量の2本
- 線の向き完了の線が右上がり
- スコープの変化スコープの線と完了の線を分けて見られる
- 向いている使い方リリースの見通しや関係者への説明
関係者への報告では、バーンアップの方が誤解が少なくなります。「チームが遅いのではなく、途中で要望が増えた」ことが、一目で分かるからです。進捗報告の作り方全般は進捗報告の書き方で扱います。
スコープが増えたときはどう見える?
同じ「要望が追加された」出来事でも、2つのチャートでは見え方が違います。
- バーンダウン: 残りの量が増えるので、実績線が上に跳ね上がる。ただし、同じ日に完了もあると、増えた分と減った分が相殺されて横ばいに見えることがある。
- バーンアップ: スコープの線が上に段差を作る。完了の線はそのまま増え続けるので、チームの進みは変わっていないことが分かる。
スプリントの途中にスコープが増えると、スプリントゴールが危うくなるおそれがあります。スクラムでは、開発者とプロダクトオーナーの話し合いで範囲を調整するのが基本です。多くの場合、追加の要望は次のスプリントで扱います。
リリース全体では、スコープの増加をバーンアップで見せます。プロダクトオーナーが「何を後に回すか」を判断する材料になります。完了時期の見通しの計算は、ベロシティとは?で扱います。
使うときの注意点は?
- チャートだけで判断しない: 線が順調でも、品質や障害の問題が隠れていることがあります。ボードやデイリースクラムの会話と合わせて見ます。
- 完了の定義をゆるめない: 線を下げるために、未完了の作業を完了扱いにしてはいけません。
- 線を目標にしない: 理想線に合わせることが目的になると、見積もりや報告が操作されがちです。
- 遅れを隠すために線を変えない: 理想線や縦軸を都合よく変えると、透明性が失われます。
図表問題ではどう出る?
PMI の試験内容の概要(ECO)2026年版では、図表問題(Graphic-Based Questions)が新しい形式として示されています。図やグラフを読み取って答える問題です。バーンダウンやバーンアップは、アジャイルの場面で題材にしやすい図の1つと考えられます。想定される問われ方の例は次のとおりです。
| 図の特徴 | 読み取ること | 次の行動の例 |
|---|---|---|
| 実績線が理想線より大きく上 | 遅れている | デイリースクラムで計画を見直し、プロダクトオーナーと範囲を話す |
| 数日間横ばい | 完了が出ていない・障害がある | 止まっている作業と障害を確かめ、除去を支援する |
| 途中で上に跳ねる | 作業が追加された | 追加の経緯を確かめ、スプリントゴールへの影響を話し合う |
| 最終日に急降下 | まとめて完了させた | 完了の定義が守られたか、作業の分け方を見直す |
| バーンアップでスコープ線が増え続ける | 要望の追加が続いている | 完了の見通しを示し、優先順位の見直しを提案する |
ほかの図も含めた読み方は、PMPの図表問題の読み方にまとめています。
確認問題1
数日間横ばいのバーンダウン
(当サイトの独自問題)10日間のスプリントのバーンダウンチャートで、3日目から6日目まで実績線が横ばいです。開発者は毎日「作業は進めている」と言っており、作業中の列には多くのカードがたまっています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:1。横ばいは「完了が出ていない」サインです。作業中がたまっているなら、並行して手を付けすぎています。新しく始めるより、途中の作業を終わらせることに集中するよう促します。
2:作業は進んでいても、完了が出ていない問題を見逃しています。3:スプリントの長さは固定です。4:理想線を変えても実態は変わらず、透明性が損なわれます。
確認問題2
スプリントの途中で線が上がった
(当サイトの独自問題)スプリントのバーンダウンチャートで、5日目に残りのポイントが24から35に増えました。調べると、営業担当が開発者に直接頼んだ機能が、スプリントバックログに追加されていました。プロダクトオーナーは追加を知りませんでした。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。原因は、プロダクトオーナーを通さない作業の追加です。スプリントゴールへの影響を、プロダクトオーナーと開発者で確かめ、範囲を調整します。営業担当には、要望はプロダクトオーナーに伝える流れを説明します。
1:ゴールへの影響を確かめずに作業を増やしています。2:表示を操作するのは、透明性に反する行為です。3:要望の価値を確かめずに一方的に削除・禁止すると、関係者との関係を損ないます。
確認問題3
バーンアップで完了時期を読む
(当サイトの独自問題)リリースのバーンアップチャートを見ています。5スプリント終了時点で、完了の累計は100ポイント、全体のスコープは200ポイントです。これまで完了は毎スプリント20ポイントずつ、スコープは毎スプリント10ポイントずつ増えてきました。この傾向が続くと、完了の線がスコープの線に届くのは、あと何スプリント後か。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。差は100ポイントで、1スプリントごとに 20 − 10 = 10ポイントずつ縮まります。100 ÷ 10 = 10スプリント後です。検算すると、完了は 100 + 20 × 10 = 300、スコープは 200 + 10 × 10 = 300 で一致します。
1:スコープの増加を無視して 100 ÷ 20 で計算しています。3:差が 20 + 10 = 30ポイントずつ縮まると取り違え、100 ÷ 30 ≒ 3.3 を切り上げています。スコープが増える分は、差を広げる側です。4:スコープ全体の200ポイントを、1スプリントで縮まる10ポイントで割っています。割るのは、今の差の100ポイントです。なお、正解の10スプリントは長いため、プロダクトオーナーと優先順位を見直すきっかけにもなります。
チャートを読む問題は、無料模試30問で本番の形式で試せます。