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PMP STUDY GUIDE計算問題(EVM・スケジュール)PMP

三点見積もりとPERTの計算式|三角分布との違いと標準偏差の出し方

三点見積もりは、楽観値・最可能値・悲観値から期待値を出す方法です。三角分布とPERTの式、標準偏差と確率の目安、期日の決め方を検算つきの例題で解説。確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • 三点見積もりは、楽観値(O)・最可能値(M)・悲観値(P)の3つから期待値を出す方法です。不確かさの大きい作業に向きます。
  • 三角分布は (O + M + P) ÷ 3、PERT(ベータ分布)は (O + 4M + P) ÷ 6 です。PERT は最可能値を重く扱います。
  • PERT の標準偏差は (P − O) ÷ 6 です。複数の作業をつなぐときは、標準偏差ではなく分散(標準偏差の2乗)を足します。
  • 期待値をそのまま期日にすると、守れる確率は約50%です。期日は「期待値 + 標準偏差の何倍か」で決めます。

三点見積もりとは?

三点見積もりは、作業の所要期間やコストを1つの数字ではなく、3つの数字で見積もる方法です。

  • 楽観値(O:Optimistic):すべてがうまくいった場合の値
  • 最可能値(M:Most likely):最も起こりやすい値。教材や問題集によっては「最頻値」とも呼ぶ
  • 悲観値(P:Pessimistic):悪いことが重なった場合の値

1つの数字(一点見積り)では、その数字にどれくらいの不確かさがあるかが伝わりません。3つの数字を使うと、期待値とばらつきの両方を示せます。

新しい技術を使う作業や、過去の実績が少ない作業に向いた方法です。ECO 2026年版の Process タスク8(スケジュール)には、作業の見積りが含まれます。タスク6(財務)にはリスクとコンティンジェンシーの資金の定量化があり、どちらにも三点見積もりが使えます。

三点見積もりはどう進める?

計算の前に、3つの値をどう集めるかで見積りの質が決まります。進め方は次のとおりです。

三点見積もりの進め方
  1. 1

    作業を分ける

    WBS の作業パッケージやアクティビティの単位で見積もる

  2. 2

    担当者と3つの値を出す

    作業をする人と一緒に、楽観・最可能・悲観の値と、その前提を書き出す

  3. 3

    期待値を計算する

    問題文や組織の指定に従い、PERT か三角分布の式を使う

  4. 4

    ばらつきを出す

    標準偏差(PERT では (P − O) ÷ 6)で、不確かさの大きさを示す

  5. 5

    経路や全体にまとめる

    期待値は足す。ばらつきは分散を足してから平方根を取る

  6. 6

    期日と予備を決める

    守れる確率の目安から、約束する期日やコンティンジェンシー予備を決める

当サイトの整理

3つの値を聞くときは、悲観値の前提(何が起きた場合か)も書いておきます。前提があいまいだと、悲観値が大きく水増しされたり、逆に楽観的すぎたりします。

経路にまとめるには、作業の順序が決まっている必要があります。順序の決め方は PDMの4つの依存関係とリード・ラグ で確認できます。

三角分布の式は?

三角分布は、3つの値を同じ重みで平均する方法です。

三角分布の期待値

期待値 = (O + M + P) ÷ 3

  1. 1O = 4日、M = 7日、P = 16日
  2. 2(4 + 7 + 16) ÷ 3 = 27 ÷ 3 = 9日

期待値 = 9日

当サイトの架空の例

悲観値が大きく離れているので、期待値(9日)は最可能値(7日)より長くなっています。悪いことが起きる可能性を、見積りに反映した結果です。

ベータ分布(PERT)の式は?

ベータ分布を使う方法は、PERT と呼ばれます。PERT は Program Evaluation and Review Technique の略です。最可能値に4倍の重みを付け、6で割ります。

PERT(ベータ分布)の期待値と標準偏差

期待値 = (O + 4M + P) ÷ 6、標準偏差 = (P − O) ÷ 6

  1. 14M = 4 × 7 = 28
  2. 2期待値 = (4 + 28 + 16) ÷ 6 = 48 ÷ 6 = 8日
  3. 3標準偏差 = (16 − 4) ÷ 6 = 12 ÷ 6 = 2日
  4. 4分散 = 2 × 2 = 4

期待値 = 8日、標準偏差 = 2日

当サイトの架空の例

三角分布と PERT の比較(同じ O・M・P)
三角分布PERT(ベータ分布)
式(O + M + P) ÷ 3(O + 4M + P) ÷ 6
重み3つとも同じ最可能値が4倍
例の期待値9日8日
特徴極端な値の影響を受けやすい最可能値に近くなる

同じ3つの値でも、PERT の方が最可能値(7日)に近い結果になります。問題文に「ベータ分布」「PERT」「加重平均」とあれば PERT を使います。「三角分布」「単純平均」とあれば三角分布です。

標準偏差と信頼区間はどう使う?

標準偏差は、見積りのばらつきの大きさです。PERT では (P − O) ÷ 6 で近似します。期待値を中心に標準偏差の何倍の幅を取るかで、その範囲に収まる確率の目安が分かります。

期待値 8日・標準偏差 2日の場合(正規分布で近似したときの目安)
幅範囲収まる確率の目安
±1標準偏差8 ± 2 = 6〜10日約68%
±2標準偏差8 ± 4 = 4〜12日約95%
±3標準偏差8 ± 6 = 2〜14日約99.7%

確率の値は、分布を正規分布とみなしたときの目安です。試験では「約68%・約95%・約99.7%」の3つを覚えておけば対応できます。

複数の作業をつなぐと、ばらつきはどうなる?

複数の作業を順番につなぐ経路では、期待値はそのまま足せます。しかし、標準偏差は足せません。分散(標準偏差の2乗)を足し、最後に平方根を取ります。

2つの作業をつないだ経路のばらつき

経路の標準偏差 = √(各作業の分散の合計)

  1. 1作業1:O 4・M 7・P 16 → 期待値 8、標準偏差 2、分散 4
  2. 2作業2:O 6・M 9・P 18 → 期待値 (6 + 36 + 18) ÷ 6 = 10、標準偏差 12 ÷ 6 = 2、分散 4
  3. 3経路の期待値 = 8 + 10 = 18日
  4. 4経路の分散 = 4 + 4 = 8
  5. 5経路の標準偏差 = √8 ≒ 2.83日(2 + 2 = 4日ではない)

経路の期待値 18日、標準偏差 約2.83日

当サイトの架空の例

標準偏差を単純に足すと、経路全体のばらつきを大きく見積もりすぎます。作業ごとのぶれが互いに無関係なら、早く終わる作業と遅れる作業が打ち消し合うからです。

期日はどう決める?期待値で約束すると守れるのは約50%

期待値は「平均的にかかる期間」です。期待値をそのまま期日にすると、正規分布で近似した場合、守れる確率は約50%しかありません。

期日を何日に置けば、どのくらいの確率で守れるのか。目安は次のとおりです(期待値8日・標準偏差2日の例)。

約束する期日と、その日までに終わる確率の目安(正規分布で近似)
約束する期日例その日までに終わる確率
期待値8日約50%
期待値 + 1標準偏差10日約84%
期待値 + 2標準偏差12日約97.7%
期待値 + 3標準偏差14日約99.9%

「±2標準偏差で約95%」は、範囲の両側をあわせた確率です。期日のように「それより早く終わればよい」場合は、片側だけを見ます。外に出る約5%のうち、遅れる側は半分の約2.5%なので、+2標準偏差までに終わる確率は約97.7%です。

期日と期待値の差は、スケジュールの余裕(予備)になります。見積りに含めた余裕と、リスクに備える予備費は、分けて管理します。

試験でよくある誤りは?

三点見積もりの計算問題では、誤答の選択肢が決まった間違い方から作られています。代表的なものを押さえておくと、選択肢を消しやすくなります。

三点見積もりでよくある誤り(当サイトの整理)
誤り正しい考え方
最可能値をそのまま期待値にする期待値は3つの値から計算する
指定がないのに三角分布で計算する指定がなければ PERT を考える。「三角分布」「単純平均」とあれば ÷3
経路の標準偏差を、各作業の標準偏差の合計で出す分散を足してから平方根を取る
期日を守れる確率に「±2標準偏差で約95%」を使う期日は片側で考える。+2標準偏差までなら約97.7%

アジャイルではどう見積もる?

アジャイルでは、作業ごとの日数を三点で見積もるより、ストーリーポイントによる相対見積もりがよく使われます。チームで規模を比べて点数を付け、ベロシティの実績から見通しを出します。

それでも「幅で示す」という考え方は同じです。ベロシティが高い回と低い回の両方で計算し、リリース時期を幅で伝えます。相対見積もりの進め方は ストーリーポイントとは? で解説しています。

確認問題1

PERTの期待値を求める

(当サイトの独自問題)新しい決済機能の結合テストについて、担当者から見積りが出ました。楽観値10日、最可能値16日、悲観値28日です。プロジェクトの標準では、ベータ分布で期待値を計算します。スケジュールに入れるべき期間はどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。(10 + 4 × 16 + 28) ÷ 6 = (10 + 64 + 28) ÷ 6 = 102 ÷ 6 = 17日です。

1:三角分布 (10 + 16 + 28) ÷ 3 = 18日です。2:最可能値をそのまま使っています。4:期待値17日に、標準偏差 (28 − 10) ÷ 6 = 3日を足した値です。期日の余裕を考えるときの値で、期待値ではありません。

確認問題2

95%の確からしさで約束できる範囲

(当サイトの独自問題)ある工程の PERT による期待値は40日、標準偏差は3日です。スポンサーから「95%程度の確からしさで、何日から何日の間に終わると言えるか」と聞かれました。回答すべき範囲はどれか(正規分布で近似)。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。約95%は ±2標準偏差なので、40 ± 6 = 34〜46日です。

1:±1標準偏差(約68%)の範囲です。2:±3標準偏差(約99.7%)の範囲にあたります。3:期待値から上側だけに2標準偏差を取っています。範囲を聞かれているので、両側に取るのが正しい答え方です。

確認問題3

一点見積りしか出てこない

(当サイトの独自問題)社内で初めて使うクラウド基盤の構築について、担当者は「20日です」と一点の見積りだけを出してきました。過去の実績はなく、担当者自身も不安そうです。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。不確かさが大きい作業は、三点見積もりで期待値とばらつきを示すのが適切です。担当者と一緒に見積もると、前提やリスクも共有できます。

1:根拠のない一律の上乗せは、見積りの信頼性を下げます。3:性質の違う作業の実績は、そのままでは見積りの根拠になりません。4:計画に入れずに進めるのは、スケジュール管理の放棄です。

次に何をすればいい?

PERT の式と標準偏差の式は、手で何度か書けば覚えられます。期待値・標準偏差・期日の確率の3つを、1つの例で続けて計算してみてください。

見積りができたら、期間を短くする方法へ進むと、スケジュールの計算がひと通りそろいます。詳しくは クラッシングとファストトラッキングの違い を参照してください。ほかの公式は PMPの計算問題の公式一覧 にまとめています。

見積りを含む問題は、無料模試30問で本番の形式で確かめられます。

よくある質問

PERT と三角分布、指定がないときはどちらを使いますか?

多くの教材では PERT(ベータ分布)を標準としています。ただし、問題文に「三角分布」「単純平均」とあれば、そちらを使います。選択肢に両方の値が並ぶことが多いので、問題文の指定を必ず確かめてください。

最頻値と最可能値は同じですか?

同じものです。英語の Most likely の訳で、教材や問題集によって表記が違います。

標準偏差が大きいとどういう意味ですか?

見積りの不確かさが大きいという意味です。悲観値と楽観値の差が大きいほど、標準偏差は大きくなります。

コストの見積りにも使えますか?

使えます。式は期間の場合と同じです。3つの値は、過去の実績(類推)や単価(パラメトリック)をもとに出すこともできます。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline(2026年7月版。Process タスク6・8)
  2. [2]PMI: PMBOK® Guide(見積りの用語の出典)

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