ES・EF・LS・LFの4つの値の意味は?
各作業について、次の4つの値を求めます。前の2つが「一番早くて」、後の2つが「一番遅くて」です。
| 略語 | 名前 | 意味 | 求め方 |
|---|---|---|---|
| ES | 最早開始日(Early Start) | 一番早く始められる日 | フォワードパス |
| EF | 最早終了日(Early Finish) | 一番早く終われる日 | フォワードパス |
| LS | 最遅開始日(Late Start) | 完了日を遅らせずに始められる最も遅い日 | バックワードパス |
| LF | 最遅終了日(Late Finish) | 完了日を遅らせずに終われる最も遅い日 | バックワードパス |
経路が少ないネットワークなら、経路を書き出すだけでクリティカルパスは分かります(クリティカルパスとは? を参照)。4つの値を計算すれば、経路が多くても漏れなく求められ、作業ごとの余裕も分かります。
ECO 2026年版の Process タスク8「スケジュールの計画と管理」で使う計算です。スケジュールの作成や、差異の分析の土台になります。
ネットワーク図には4つの値をどう書く?
ネットワーク図では、作業の箱(ノード)の四隅に4つの値を書く形がよく使われます。図表問題で値を読み取るときも、この配置を知っておくと迷いません。配置は教材によって違いますが、次の形が代表的です。
| 左 | 中央 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 上段 | ES | 作業名・期間 | EF |
| 下段 | LS | トータルフロート | LF |
上段が「早い方」、下段が「遅い方」です。上段は左から右へ(ES → EF)、下段は右から左へ(LF → LS)計算する、と覚えると図の向きと手順が一致します。
例題のネットワーク
次の5つの作業で計算します(当サイトの架空の例・単位は日)。どれも「前が終わったら次を始める」終了−開始(FS)の関係です。依存関係の種類は PDMの4つの依存関係 で解説しています。
| 作業 | 期間 | 先行作業 | 後続作業 |
|---|---|---|---|
| A | 3 | なし | B・C |
| B | 4 | A | D |
| C | 6 | A | D・E |
| D | 5 | B・C | なし(終了) |
| E | 4 | C | なし(終了) |
D は B と C が合流する作業です。A と C は、後ろが分岐する作業です。この「合流」と「分岐」の扱いが、計算のポイントになります。
フォワードパス(ES・EF)はどう計算する?
最初の作業の ES を0として、前から順に計算します(0始まり)。ルールは次の2つです。
1つ目は EF = ES + 期間。2つ目は、次の作業の ES = 先行作業の EF です。先行が複数あるときは、その中の最大値を取ります。
EF = ES + 期間、合流点の ES = 先行の EF の最大値
- 1A:ES 0、EF 0 + 3 = 3
- 2B:ES 3、EF 3 + 4 = 7
- 3C:ES 3、EF 3 + 6 = 9
- 4D:ES = max(B の EF 7, C の EF 9) = 9、EF 9 + 5 = 14
- 5E:ES 9、EF 9 + 4 = 13
- 6プロジェクトの期間 = 最後の EF の最大値 = max(14, 13) = 14日
プロジェクトの期間は14日
当サイトの架空の例
合流点で最大値を取るのは、すべての先行作業が終わるまで次の作業を始められないからです。D は、B(7日目に終了)だけでなく C(9日目に終了)も待つ必要があります。
バックワードパス(LS・LF)はどう計算する?
最後の作業の LF をプロジェクトの期間(14)として、後ろから順に計算します。ルールは次の2つです。
1つ目は LS = LF − 期間。2つ目は、前の作業の LF = 後続作業の LS です。後続が複数あるときは、その中の最小値を取ります。
LS = LF − 期間、分岐点の LF = 後続の LS の最小値
- 1D:LF 14、LS 14 − 5 = 9
- 2E:LF 14、LS 14 − 4 = 10
- 3B:LF = D の LS = 9、LS 9 − 4 = 5
- 4C:LF = min(D の LS 9, E の LS 10) = 9、LS 9 − 6 = 3
- 5A:LF = min(B の LS 5, C の LS 3) = 3、LS 3 − 3 = 0
- 6検算:最初の作業の LS が0に戻る
A の LS が0に戻ったので計算は正しい
当サイトの架空の例
分岐点で最小値を取るのは、後続のうち一番早く始める必要がある作業に間に合わせるためです。C は、D(9日目に開始が必要)と E(10日目に開始でよい)の両方に間に合う必要があります。そのため、早い方の9に合わせます。
結果をまとめると?フロートとクリティカルパス
4つの値がそろったら、LS − ES でトータルフロート(余裕)を出します。0の作業がクリティカルパスです。
| 作業 | ES | EF | LS | LF | フロート(LS − ES) |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 0 | 3 | 0 | 3 | 0(クリティカル) |
| B | 3 | 7 | 5 | 9 | 2 |
| C | 3 | 9 | 3 | 9 | 0(クリティカル) |
| D | 9 | 14 | 9 | 14 | 0(クリティカル) |
| E | 9 | 13 | 10 | 14 | 1 |
クリティカルパスは A → C → D(14日)です。経路を書き出すと、A → B → D が12日、A → C → D が14日、A → C → E が13日です。最も長い経路と、フロート0の作業の並びが一致します。
フロートには、トータルフロートとフリーフロートの2種類があります。違いは トータルフロートとフリーフロートの違い で解説しています。
0始まりと1始まりは何が違う?
教材によって、最初の作業の ES を「0」にする方法と「1(1日目)」にする方法があります。1始まりは「何日目の朝に始め、何日目の夕方に終わるか」で数えるので、式が1ずつずれます。
0始まり
- 開始最初の ES = 0
- 終了EF = ES + 期間
- 次へ次の ES = 前の EF
- 最遅開始LS = LF − 期間
- 前へ前の LF = 次の LS
1始まり
- 開始最初の ES = 1
- 終了EF = ES + 期間 − 1
- 次へ次の ES = 前の EF + 1
- 最遅開始LS = LF − 期間 + 1
- 前へ前の LF = 次の LS − 1
どちらで計算しても、フロートとクリティカルパスは同じになります。
当サイトの整理
| 作業 | ES | EF | LS | LF | フロート(LS − ES) |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 1 | 3 | 1 | 3 | 0 |
| B | 4 | 7 | 6 | 9 | 2 |
| C | 4 | 9 | 4 | 9 | 0 |
| D | 10 | 14 | 10 | 14 | 0 |
| E | 10 | 13 | 11 | 14 | 1 |
ES と LS は0始まりより1ずつ大きくなりますが、フロートは0始まりと同じです。
問題文が「1日目に開始」のように書いていれば1始まり、図に0から始まる値が書かれていれば0始まりです。問題の書き方に合わせてください。
よくある誤りは?
計算問題の誤答の選択肢は、たいてい決まった間違い方から作られています。代表的なものを表にまとめました。
| 誤り | どうなるか | 正しいルール |
|---|---|---|
| 合流点で、先行の EF の最小値を取る | ES が早すぎ、期間を短く見誤る | 合流点は最大値 |
| 分岐点で、後続の LS の最大値を取る | LF が遅すぎ、後続が間に合わない計画になる | 分岐点は最小値 |
| 1始まりで、次の ES を前の EF と同じにする | 1日ずつずれる | 1始まりは「前の EF + 1」 |
| 終了につながる作業ごとに、自分の EF を LF にする | 余裕のある作業を見落とす | LF はプロジェクトの期間(最後の EF の最大値) |
| フロートを ES − LS で出す | フロートがマイナスになる | 「遅い方 − 早い方」で LS − ES |
確認問題1
最遅開始日を求める
(当サイトの独自問題)作業 A(4日)の後に、B(5日)と C(1日)が始まります。D(3日)は C の後、E(2日)は B と D の両方の後に始まり、E が最後の作業です。0始まりで計算するとき、作業 D の LS(最遅開始日)はどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:1。フォワードパスで A 0〜4、B 4〜9、C 4〜5、D 5〜8、E は max(9, 8) = 9 から 11 です。バックワードパスでは、E の LS は 11 − 2 = 9 です。D の LF は9なので、LS = 9 − 3 = 6 になります。
2:D の ES です。3:D の EF にあたります。4:D の LF です。D のフロートは 6 − 5 = 1日です。
確認問題2
1始まりでの最早開始日
(当サイトの独自問題)チームの工程表は「1日目に開始」で数える決まりです。作業 E には2つの先行作業があり、1始まりでの EF は、作業 B が9、作業 D が8です。工程表に記入する E の ES(最早開始日)はどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。合流点なので、先行の EF の最大値9を取ります。1始まりでは次の日に始めるので、9 + 1 = 10 です。
1:最小値を取り、しかも1を足していません。2:0始まりの考え方のまま、1を足していません。3:1を2回足しています。
確認問題3
工程表の誤りを指摘する
(当サイトの独自問題)新しく加わったスケジューラーが作った工程表を確認しています。作業 A の後続は B(LS 5)と C(LS 3)の2つですが、工程表は0始まりで数えており、A の LF が5と記入されていました。プロジェクト・マネジャーがスケジューラーに伝えるべき内容はどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。バックワードパスでは、0始まりの分岐点の LF は後続の LS の最小値です(1始まりでは、最小の LS − 1)。LF を5にすると C の開始が間に合わず、完了日が遅れる計画になります。
1:平均を取るルールはありません。3:ES に期間を足すのは、EF の求め方です。4:最大値を取るのは、フォワードパスの合流点(ES)のルールです。